第二試練の準備のため、

広間での待機から一時間経った頃。


奥の通路から鈴香があらわれた。

長らくお待たせしました。
第二試練の準備が整いましたので、ご案内致します。
速やかに二列に並んで付いて来てください。

広間内でバラバラに過ごしていた参加者達は、

それに従い鈴香に歩み寄って行く。

…………。

…………。

敬介と美咲は、

先程の騒動から警戒をしており、

参加者の一番後ろにいる事にした。

少し待っていると、

あの時の四人が近くを通り過ぎていくのが見えた。


四人もこちらと同じように敬介と美咲を見ている。

…………。

…………。

…………。

…………。

…………。

…………。

一番離れて待機していた参加者が、

列に並ぶのを見届けると、

少し駆け足気味で近づいて後ろへと並ぶ。

よし。

そして、

全員が並び終わったのを確認した鈴香は、

先程出てきた通路へと向かって歩き出した。

通路は、

灯台に入ってすぐにあった螺旋階段のように、

薄暗く不気味だった。

ただ、

螺旋階段のように狭くはなく、

人が五人並んで歩ける広さで参加者も大勢いるので、

まだマシな様な気はしている。

えー。
途中からそれぞれ各小部屋に入っていただくことになりますので、歩きながらで恐縮ですが第二試練の説明をさせていただきます。

後ろを振り返らず説明を始めた鈴香の声は、

この通路の反響のおかげもあって、

よく聞き取ることができた。

第二試練では、小部屋に入ると各々に応じた内容が用意されています。
その内容をクリアしてください。
制限時間は二時間です。
なお、この課題をクリアすることができなかった場合には、この第二試練に関する記憶を消させていただきます。
これについては、クリアした者ならば理由が分かるでしょう。

内容がそれぞれ違う?
どういうことだ?
矢島さんの話だと、光力を測るって聞いてたけど、わざわざバラけてだなんて。

通路を進むと、

両サイドの壁には木製の扉があり、

それぞれ3m間隔に離れていて、

パッと見た限りでは見えない所まで続いてる。

並んでいる者達に背を向けて歩いていた鈴香は、

急に立ち止まると、

後ろにいる参加者へと振り返った。

はい。
では、一番前の方から順に左右に分かれて、ドアの前でお待ち下さい。
全員の準備が完了したのを確認したら、開始の合図で鈴がなります。

…………。

…………。

そういって、

また奥へと向かって歩き出す。

…………。

…………。

…………。

…………。

…………。

…………。

新しいドアの前を通る度に、

列の前から左右に分かれていった。

…………。

…………。

敬介と美咲は、

一番後ろで隣り合って並んでいるので、

さらに奥へと進んでいく。

…………。

…………。

ドアの前で立ち止まる者が増えるにつれて、

通路に響く足音が少なくなっている。

…………。

…………。

…………。

そして、

とうとう足音も三人だけとなり、

最後のドアが目に入った。

あなた達で最後ですね。

振り返った鈴香が声をかけると、

二人は頷いて左右のドアの前に立った。

…………。

…………。

二人の準備ができたのを確認すると、

鈴香は下ろしていた右手を胸の高さまで上げて、

掌を上にする。

その掌には淡い光が集まり、

小さな光る鈴へと形を変えた。

では、
第二試練「測光(そっこう)」開始!!

…………。

…………。

す右手で鈴を握り潰したと同時に、

一組目の参加者まで鈴の音は届き、

一斉に目の前の扉を開けて入っていく。

部屋に入ると、

敬介の目の前は真っ暗で何も見えなかった。

わっ!!

突然、

扉は勢い良く勝手に閉まり、

両手から前へと倒れ込んでしまった。

いってえ……。
転んじまって、扉の方向も分からねぇ。

起き上がると、

辺りを手探りしながら、

歩幅を狭くして歩き回る。

何度も前へと手を伸ばしていくが、

何かに触れることもなく、

ただ空気をかき混ぜているような感覚だった。

たしか、この試練はそれぞれに合わせて内容が違うって言ってたけど、全く見当がつかないな。

暗闇でしばらく過ごしていると、

だんだんと目が慣れてきて、

少しは辺りが見えるかと思ったが、

その気配は全くない。

外から見たら部屋は狭そうだったし、壁に触れそうな気もするけど、全然ダメだ……。

迷路の攻略のように、

壁に沿っていけば何とかなる気もしたが、

それすらも上手くいかなかった。

そして、

暗闇は少しずつ敬介に恐怖心を与えていく。

第3章--認証試練編--(71話)-第二試練①-

facebook twitter
pagetop