ここは大宮家。
光術士の家系の中でも名家と呼ばれる内の一つで、
大宮剛(ごう)の住む家でもある。
ここは大宮家。
光術士の家系の中でも名家と呼ばれる内の一つで、
大宮剛(ごう)の住む家でもある。
剛は三幻僧との戦い後、
家から一歩も出ずに過ごしていた。
ふと、夜風に当たろうと1階にある長い廊下に出た。
窓を開けて外を眺める。
…………。
何もせずに、
窓の横にある柱にもたれかかっていると、
廊下の角を曲がってこちらに誰かが歩いてきた。
剛、まだ起きてたのか。
ああ。
声をかけてきたのは父の大宮秀信(ひでのぶ)。
髪を頭の上で縛り、袴を着ている。
認証試練の準備は大丈夫か?
たぶんな。
たぶん、か。
お前のことだから大丈夫だと思うが、油断はするなよ。
ここ数年、灯は不穏な動きばかりだ。
わかってる。
……もう寝るよ。
剛は父の心配を横目に、
窓を閉めて部屋へと戻ろうとする。
俺が油断するわけないだろ。
ゆっくりと歩きながら、
背後から見つめる父を一瞥し、
階段を上っていく。
認証試練当日。
指定場所である夕暮れ灯台に向かうため、
敬介は美咲と共に駅に来ていた。
じゃあ、二人とも気を付けてね。
はい。
行ってきます。
頑張ります。
見送りに来ていた矢島と別れ、
二人はホームへと向かった。
改札を通り階段を下りると、
タイミング良く電車がホームに入ってきた。
沢山の人々が乗り降りする中、
二人はは6両ある電車の前から3両目に乗り込んだ。
そして、数十秒後。
電車は目的地へと発車した。
車内はそこまで混んでおらず、
二人は席に隣り合うよう腰掛けた。
いよいよか。
そうだね。
結局、大宮からはいくら連絡しても返事来なかったし。
光一さんに聞いたら、大宮君も認証試練受けるから会場で会うかもだって。
そうなんだ。
まぁ、あいつなら何事もなかったかのようにいそうだな。
そういえば、第一試練の勉強して思ったけど、知らない事だらけだったね。
うん。
光術士の歴史についてなんて聞いたことなかったし、俺達が生まれるずっと前からシャドーと戦ってたんだもんな。
そうそう。
カラウ先生から次元の門について聞いたことがあったでしょ。
その時に、60年前の戦いでは光術士が負けたって言ってたけど、本では戦いの終盤に一人の光術士が門の向こうへ飛び込んで、内側から閉じたって。
でも、それだけでは門を完全に封じることができず、門を中心に各地に散らばる六門(ろくもん)を影鬼(えいき)と一緒に封じることで戦いは終わったって。
これから行く夕暮れ灯台にもその六門の一つがあるくらいだから、とても重要な場所なんだろうね。
いったい何が待ってるんだろう。
終着駅に到着すると、
そこからバスで1時間程の所に夕暮れ灯台はあった。
でけぇな。
灯台なんて久々に見たよ。
海も綺麗。
二人が周りの景色に夢中になり、
灯台を見上げて話していると、
その中から人が出てきた。
手に抱えた名簿のようなものと、
二人の顔を交互に見て照らし合わせる。
形山敬介と天野美咲だな。
さぁ、中に入れ。