敬介達が学校にいる頃。

秋野実神社では矢島とカラウが話していた。

カラウさん。
敬介君と美咲ちゃんに届いた認証試練の案内ですが、やはり回避はできないですよね?

そうだな。
灯は今も変らずヤツが仕切っている。
恐らく、拒否すれば二人とも殺されるだろう。
全く、なんのための組織なんだか……。

僕が一緒に参加することができれば良かったのですが……。

まぁ、それは気にすんな。
あいつらも一人前になるには、いづれ俺達の手を離れなきゃならんからな。
それが少し早まっただけだ。

はい。
とりあえず、今夜二人と会う約束をしているので、その時にでも認証試練についてもう少し話してみます。

敬介と美咲は、

矢島から認証試練いついて詳しく聞くために、

とある屋上に来ていた。

さっそく、認証試練について詳しく教えてください。

うん。
認証試練は全部で三つの試練を受けなければならない。
第一試練「深識(しんしき)」。
第二試練「測光(そっこう)」。
第三試練「退魔(たいま)」。
この全てに合格したものが、真の光術士として認められる。

試練の名前からして難しそう。

たしかに簡単ではないね。
一番心配してるのは第一試練かな。
これは光術士に関する深い知識を問う試練なんだけど、二人にはちゃんと教えたことはなかったからね。
これから色々覚えてもらわないといけない。

え?
深い知識って、まさかテスト?

うん。

学校のテスト期間と被っちゃうね。
けっこう大変かも。

でも、俺はやるぜ。
正統な家系出身とか関係無しに認めさせるんだ。
俺の存在を。

それは、良かった。
その意気込みなら大丈夫だろうね。
じゃあ、この本を。

矢島は持っていたバッグから、辞典くらいの分厚い本を二人に手渡した。

うわ!
すごい量だ。
大丈夫かな、俺。

なんだ、これくらいか。

え?

え?

敬介と美咲は、

それぞれの思いの違いに顔を見合わせた。

次の説明をするね。
第二試練「測光」は、持っている光力の量を測る試練だ。

測る?
なんか簡単そうな試練だな。

うん。
知識の方が大変そうな気がする。

この試練を侮ってはいけない。
測るといっても、ただ光力の量を見るだけではなく、特殊な部屋で数時間過ごさなければならない。
ここでは光力だけでなく己の精神力も問われる。

いったいどんな部屋なんですか?

それは僕にも分からない。
部屋の性質は入った人間によって変化する。

この試練は対策できなさそう。

認証試練自体が、簡単に合格させる気のないものだからね。
正統な家系では小さい頃から修行を積んでいるから大丈夫でも、急な覚醒者には難易度が高い。
なんせ修行期間がとても短い。
そうやってふるいにかけているんだよ。

ますます失敗するわけにはいかない理由だな。

そして、第三試練「退魔」。
これはその名からも察することが出来るが、シャドー退治。

あれ、私達が普段やっていること。

うん。
だけど、これがもっとも厄介な試練なんだよ。
これはただのシャドー退治じゃない。
指定されたフィールドにいるシャドーを制限時間内に倒し続ける。
そして、これは試練を受ける受験者同士の対決も認められたサバイバル方式。
より優秀な光術士を残し、力の劣る者は排除されるようになっている。

潰し合いか。

簡単にいうとそういうことになる。
そして、おそらく敬介君と美咲ちゃんは狙われやすい。

正統な家系じゃないから?

うん。
それ程までに、正統の二文字は重要とされている世界なんだよ。
僕やカラウさんは試練の場には入れないから、君達の力を信じて待つことしかできないんだ。
すまない。

なんで、矢島さんが謝るんだよ。
俺達は自分の意思で光術士を選んだんだ。
この試練を越えれば、誰がなんと言おうと真の光術士さ。

そうだね。
頑張って試練をクリアしよう。
学校のテストもね。

学校のテストはちょっと心が折れそう。

第3章--認証試練編--(65話)-三つの試練-

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