この話は、
見るも無惨な
惨劇である。
心臓の弱い方は、
単純に病院で
診てもらいましょう。
この話は、
見るも無惨な
惨劇である。
心臓の弱い方は、
単純に病院で
診てもらいましょう。
十数年前、中学の同窓会があった。久々に会った旧友と飲み明かす。
子供の頃を振り返り、懐かしい話題で盛り上がる。積もる話は尽きず、お互い社会人になった今、身の上話などをして近況報告などしていた。
30前にもなって中身はガキのまんまで、つまんない話で笑顔を交差させる。
しかし中には悪い話もあり、違うクラスの者が吐血するほど過労状態という話もあがった。どうでもいいのに、吐血は食堂や胃などの消化器系の病気。喀血(カッケツ)は、肺や気道の病気、などと医療知識を語る者がいた。
その人はどうやら養生して復帰したらしいが、お互い気を付けようと話をしていた。
辛気臭い話、
しとったらあかんでぇ。
ほら、飲め飲めぇ~。
親友の一人が景気よく飲んでいる。明らかに飲み過ぎだが、懐かしい面々と飲むのが嬉しいのだろう。明るい声で私にも話しかけてくる。
ナンチャイ、え~!?
烏龍茶とか、ありえへん!
酒はあんまり好きやないねん
旧友との語らいは昔と変わらず、楽しかった。そうただただ楽しかったのだ。不自然なほどに、、、
二次会はどこに行くとか何とか言ってる間に、さっきの親友がトイレから帰ってこない事に気付いたナンチャイ。
どうせゲロでも吐いてんでしょ。
私はトイレに足を向けた。
トイレに彼はいた。個室の扉越しにもつれまくった舌で何か言っている。何を言っているか分からないが、どうもグロッキーで動けないようだ。
早く次の店に行くでぇ。
大丈夫かぁ。
わへへれへ、
ようきへらはへは……
扉越しの声は完全に酔いつぶれていた。このままでは、回復は見込めない。取り敢えず様子を見るか――そう思い、私は隣の個室に入り便器を踏み台にして親友の個室の方を上から覗いた。
辺り一面は血だらけだった。
親友の口元は
その鮮血の源泉だった。
白いシャツは
真っ赤に染まり
力ない両手は
だらりとぶら下がっていた!
こいつ明るく振舞っていたが
病気だったんだ。
そんな話題に
触れなかったのは、
過酷で残酷な現実から
目を逸らし、
今日という大切な日を
昔に戻って純粋な気持ちで
楽しむため……
あ、そういえば
吐血か?
喀血か?
先程の雑談が頭によぎる。
何か分かればまだ
助かるんじゃないか?
私にしてやれる事はないのか?
でも……、
すぐに気付いたんだ。
そいつは
ワインを吐いていた
だけってことを。