魔物の集団と退治した僕たちだったけど、
ロンメル以外はなぜか魔法が使えない。
これはどういうことなんだろう?

すると程なくサララが声を上げる。
 
 

サララ

違和感の原因が
分かりましたぁ!
魔封じの結界ですよ!
封じられた時の感覚と
同じです!

サララ

もしかしたら
王都一帯が結界の中に
入っているのかも。

ロンメル

なるほどな。おそらく、
この結界は魔族のみに
有効となるのだろう。
それなら俺だけが魔法を
使えるのも納得できる。

ティアナ

魔法が使えないなら
物理攻撃を仕掛けるだけ。
私が前へ出るわ。

ロンメル

では、俺は攻撃魔法で
範囲攻撃を担当しよう。

トーヤ

僕はフォーチュンで
遠くから援護するよ。

サララ

うぅ、無力ですぅ。

ライカ

悔しいですね、
何もできないというのは。

エルム

…………。

ロンメル

行くぞ、ティアナよ!

ティアナ

分かってる!

 
 
 

ティアナ

やぁっ!

 
 
 

 
 
 

ロンメル

はぁあああぁ……。

 
 
 

 
 
 

 
 
 

 
 
 
 
 

 
 
 

 
 
 
ティアナさんとロンメルは魔物の集団へ
攻撃を仕掛けた。


ティアナさんは目にも留まらぬ動きで
魔物の間合いに入り、
パンチやキックなどで蹴散らしていく。

その破壊力は凄まじく、
インパクトとともに肉体の内部で
その衝撃力が爆発しているかのような。


――すごい、ここまで強いなんて。


一方、ロンメルは灼熱魔法で
魔物を焼き払っていく。

一撃で倒すことは出来ないけど、
広い範囲にダメージを与えているから
何度も食らえば
魔物は集団ごとに沈黙していく。
 
 
 
 
 

トーヤ

いっけぇえええぇっ!

 
 
 
 
 

 
 
 
 

 
 
 
僕はフォーチュンを何度も振りかざした。

主にロンメルが仕留め損ねた魔物を中心に
トドメを刺していく感じ。
うまく連携が出来ていると思う。


よし、このままでいけば
もうすぐ辺りの魔物を一掃できるぞ。
 
 

サララ

はわわぁああぁっ!

トーヤ

っ!?

 
 
不意にサララが悲鳴を上げた。
振り向いてみると、
僕たちの後方から魔物が突進してくる。


ティアナさんもロンメルも離れた位置で
戦っている最中で
こちらに意識が向けられる状況じゃない。

気付いていたとしても間に合わない!


僕は咄嗟に前に出て両手を横へ広げ、
みんなを庇う。
 
 

トーヤ

みんなっ、
僕の後ろに!

ライカ

いえ、トーヤさんを
死なせるわけには
いきません!
ここは私が壁に!

トーヤ

女の子を犠牲には
出来ませんよ!
エルムも下がって!

ライカ

トーヤさん……。

サララ

トーヤくん……。

エルム

兄ちゃん……。

 
 
僕はフォーチュンをサララに手渡し、
腰に差していたナイフを構えた。

こんなんじゃどこまで守りきれるか
分からないけど、最後まで諦めるもんか!
 
 
 

ガァオオオオオーン!

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
魔物は僕の方へ迫ってくる。
体当たりされただけでも大ダメージかも。

だったらヤツの急所に切っ先を向けて
その勢いを逆に利用してやる。
乾坤一擲の大勝負だ!






――その時だった。

不意にエルムが前へ出て
ブツブツと何かを呟いている。

何をする気なんだ!?
 
 
 
 
 

エルム

神魔光滅陣!

 
 
 
 
 

 
 

ぎゃあああぁぁぁ……。

 
 
 

トーヤ

えっ?

ライカ

なっ!?

サララ

はわわっ!

エルム

ふぅ……。

 
 
なんとエルムが光系の魔法を使った!
魔物はその直撃を受けて消滅する。

魔族は魔法が使えない状況のはずなのに
なぜ扱えたのだろう?
そもそも元・下民のエルムが
あんなに強力な魔法を使えるなんて……。



――そうだ、そういえばエルムは
帰らずの遺跡でもロンメルに対して
同じ魔法を使った。
その理由を聞かないままだった。

なぜエルムは魔法を……。
  
 

 
 
 
次回へ続く!
 

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