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「陰陽道」
さてさて、本編が第6話にしてようやく「和風ファンタジー」って感じになってきましたね。しかし、読まれた方でお気づきの方がいらっしゃるかもしれませんが、白衣の男は「仏道(仏教)」で、最後に出てきた式神(?)は「陰陽道(道教)」と、なんと二つが共存?融合?しているではありませんか。どういうことなのでしょうか?
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「陰陽道」
陰陽道
そもそも陰陽道というのは、道教の思想である陰陽思想・五行思想・神仙思想が日本で独自の発展を遂げたものと端的に理解していいでしょう。(風水や天文学なども含まれてはいるのですが…)
陰陽思想とは、この宇宙に存在するものは全て陰と陽の二つのカテゴリに分類でき、この宇宙は二つの相反する性質のものから成り立っているという思想です。闇と光、女と男、火と水…のように対にして考えるのです。それだからどうだということはありません。古代中国の二元論と簡単に片付けてしまうこともできます。
五行思想とは、この宇宙に存在するものを5つの要素でできていると説明する中国の古代思想です。『木火土金水』に大別されますが、二つの面白い属性同士の関わり合いがあります。木は火を生かし、火は物を燃やし灰にするので土を生かす…と隣同士は助け合う関係。それと、木は土の養分を吸い、火は金を溶かす…と一つ飛ばしで考えると逆に相殺する関係。このような不思議な関係になる面白い考え方でもあります。ある意味美しいですね。この相殺する関係を線で結んだものが、『晴明紋』いわゆる五芒星なのです。
様々なゲームにおける属性の優越の考え方に通じるところがありますね。
そして陰陽思想と五行思想を組み合わせたものが陰陽五行思想という思想なのです。(これもまたそれ以上でも以下でもない気がします。)
呪術的要素を多分に含んでいるのは、実は神仙思想です。様々な見方がありますが、錬金術(錬丹術)、漢方、気功法、不老不死、死者蘇生、妖術(方術)等を操る仙人は、道教における『仙道』の使い手であるのです。ちなみに、三国志で有名な黄巾の乱の張角もこういった妖術を操るものであったとされます。
陰陽道のルーツは、中国の古代思想だけではありません。仏教(密教)や神道でさえもその中に取り込まれています。独自の進化を遂げた宗教と実用的な知識・技術の融合とも言えます。あらためて述べますが、陰陽道に取り込まれ発展していったものは、天文学・漢方・占星術・錬金術・風水・気功法・妖術・方術・死者蘇生・不老不死などでした。(科学の時代の私たちからすればどれも胡散臭いですが、昔は大真面目でした。)
そして、様々な要素を取り込んでいく中で、陰陽師たちは学問としてそれらを修めたはずです。(全員ではないでしょうが…)そう考えると、陰陽師は道教・仏教・神道の3つを理解し、中国語・サンスクリット語・日本語を話すトリリンガル超インテリ国際人だったのかもしれません。
以上のことを踏まえると、陰陽師が唱えた呪文は3系統あると考えられていることにも納得です。
1.インドの梵語(サンスクリット語)系
2.中国語系
3.日本語(大和言葉)系
の三つです。1と2は、仏教系ということで一括りにできますし、小説などでも良く一緒にされていますね。まあ、聞き慣れず意味も理解できませんし、ごっちゃになってしまってもしょうがないかと思います。
陰陽道は元々道教に端を発してはいるのですが、もはや全く別のものです。京都には、もっとも有名な陰陽師である安倍晴明を祭る晴明神社があり、それはどういう意味で神社なのかともはや訳が分かりませんね。
(まあ、それは政策によりやむを得なかったものだと思うのですが…)
説明することにより、今までのイメージが崩れ、余計わからなくなった人もいるかもしれません。簡単に『いろんな学問や宗教・宗派が集合した新しい思想』と考えていいと思います。私は、あくまでこれらは単なる集合であって統合には至らなかったのではないかと思います。(派閥とかいっぱいあったんじゃないでしょうか。陰陽師を名乗る家系はもはやその家系が流派であるようです。)
いずれにせよ、そういった陰陽道の混沌とした部分や奥深い部分は非常に設定上妄想が掻き立てられる部分でもあり、どう面白く展開しようかと悩んでいる部分でもあります。
若干いつもより時間がかかっていますが、楽しみにお待ちいただければ幸いです。