放課後に美咲と秋野実神社へと行き、
矢島と大宮のお見舞いに行くため、二人のことをカラウに尋ねたのだが分からなかった。
そのまま帰宅した敬介の部屋の机の上には、
見慣れぬ黒い封筒が置いてあり、
認証試練を受けなければいけないというメッセージが書かれていた。
放課後に美咲と秋野実神社へと行き、
矢島と大宮のお見舞いに行くため、二人のことをカラウに尋ねたのだが分からなかった。
そのまま帰宅した敬介の部屋の机の上には、
見慣れぬ黒い封筒が置いてあり、
認証試練を受けなければいけないというメッセージが書かれていた。
光術士統一協会って聞いたことないぞ。
手に持っていた黒い封筒を机に放って、
便箋を片手にベランダの窓を開けた。
ベランダに出ると、
持ってきた便箋をもう一度始めから読み返した。
間違いなく俺宛だしな……。
それに黒い封筒って不吉すぎるだろ。
ベランダの塀に両肘を置き、
前屈みのまま右手の便箋を宙にブラブラさせた。
おっ!!
仮眠前ということもあり、
少しボーっと外の景色を眺めていると、
下の道路で黒猫同士が急にじゃれ合い始めた。
なんだ、猫か。
大きく溜息を吐くと、
部屋に戻ろうとして左を向く。
うわっ!!
全く気づかない内にカラスは隣にいたのだ。
そんなことは知らず、
慌ててベランダに尻餅を着いてしまう。
しかし、
カラスは敬介をずっと見つめたまま微動だにしない。
いててて……。
なんだ、このカラス?
強めにお尻を打ったので、
さすりながら塀に立っているカラスを見上げる。
めっちゃこっち見てるし。
…………。
一人と一羽は、沈黙のまま見つめあう。
無事に招待状を受け取ったようね。
え…………。
今頃、他のお仲間にも届いているわ。
参加辞退はできないから、くれぐれも参加しないってことはないようにね。
カラスが……、
しゃ、しゃべった?
では、さようなら。
またね。
黒い封筒に黒猫、喋れる黒いカラス。
俺が疲れてんのか?
カラスがメッセージを残して飛び立つと、
敬介はあくびをしながら部屋へと入り、
ベッドへと横たわった。
仮眠が終わり、
敬介は美咲との待ち合わせのため、
近所の公園に来ていた。
天野さん来たら、さっそくこの封筒について聞いてみるか。
敬介はそういって、
ポケットに入れていた黒い封筒を取り出した。
そして、
公園内をふらふらとうろついていると、
美咲がやってきた。
こんばんは。
さっそくなんだけど、こんな封筒届いてなかった?
美咲の挨拶に手で返すと、
敬介はさっそく手に持っていた黒い封筒を見せた。
あ!!
形山君にも届いてたんだね。
何か気味が悪くて、私も見てもらおうと思って持ってきたんだ。
そういって、
美咲も持参した黒い封筒をポケットから取り出した。
やっぱり……。
ここに書かれている内容ってさ、俺達がまだ光術士って認められてないことになるよな。
そうだね。
差出元の光術士統一協会って、カラウ先生からも聞いたことないし。
休養してる矢島さんには悪いけど、連絡してみるよ。
なんか厄介な事になってる気もするし。
うん。
敬介はスマホを取り出すと、
さっそく矢島に電話をかけた。
もしもし、矢島です。
矢島さん、こんばんは。
形山です。
お体の具合はどうですか?
こんばんは。
おかげさまで、だいぶ良くなったよ。
これも敬介君と美咲ちゃんのおかげかな。
良かったです。
ありがとう。
そうだ、何か用事があるんでしょ?
そうでした。
あの、俺と天野さんに光術士統一協会って所から封筒が送られてきて……。
光術士統一協会?
はい、そうです。
わかった。
今すぐそこに行くよ!!
場所は?
えっと、俺の家の近くの公園です。
よしっ!
すぐに行くから待ってて。
どうだった?
なんか矢島さん慌ててる感じで、今からこっちに来るから待ってるようにだって。
よっぽど良くない封筒ってことかしら。
うん…………。
二人は矢島が公園に来るのを待ちながら、
その不気味な黒い封筒を眺めていた。