僕たちはティアナさんの指示通りに移動し、
施療院へとやってきた。
そこは無人で静まり返っている。
室内が荒らされているから
空き巣が入ったのかもしれない。
もしかしたらティアナさんを
連行したヤツらの仕業かもしれないけど。
そして僕たちは地下室の片隅にある
隠し部屋へと通される。
僕たちはティアナさんの指示通りに移動し、
施療院へとやってきた。
そこは無人で静まり返っている。
室内が荒らされているから
空き巣が入ったのかもしれない。
もしかしたらティアナさんを
連行したヤツらの仕業かもしれないけど。
そして僕たちは地下室の片隅にある
隠し部屋へと通される。
こんな場所に
隠し部屋が……。
しかもこれは
転移の魔方陣ね。
これを使えば
先生の家の近くまで
行くことが出来るわ。
先生のいる一帯は
結界で守られている。
通常の転移魔法では
移動できないように
なっているの。
そうなんですか?
でも僕たちはクレアさんの
転移魔法でギーマ老師の
家に行きましたよ?
クレア?
あぁ、女王様の使い魔か。
それは女王様が
お持ちになっている護符を
身に付けていたのだろう。
先生の血を利用して作った
護符があれば転移魔法で
出入りができる。
そういうことだったのか……。
でもなぜそこまでギーマ老師を
保護する必要があるのかな?
確かにすごい薬草師には違いないけど。
直弟子ですら護符の所有は
認められていない。
先生の身を守るためにな。
でも、この魔方陣は?
もしかして
直弟子に認めた者を
連れていくためとか?
ギーマ老師の家は
魔竜山にあって、
普通には
到達できないんですよね?
それを聞くとティアナさんは
クスッと笑った。
そして僕を穏やかな瞳で見つめてくる。
ははは、そこまで
知らされていたか。
先生はトーヤの才能を
よほど認めていたらしいな。
確かに魔竜山の某所に
先生の家がある。
だが、それゆえに私が
その位置を吐かされても、
連中はすぐに到達できない
というわけさ。
魔竜山は魔族でも
立ち入るのが
危険ですからね。
ドラゴンの群れが
相手では
力の強い魔族であっても
手こずるだろうな。
もっとも、戦力と時間、
そして甚大な犠牲を払えば
探索も不可能ではないが。
そういうことだ。
だからこの魔方陣を使って移動すれば
先回りが出来るんだ。
もちろん時間は限られているけど。
位置がバレてしまっている以上、
無闇に探索するわけじゃない。
最低限の戦力で済むわけだし。
その『最低限』でも
数千人単位の犠牲を伴うだろうけどね……。
この魔方陣は緊急事態に
備えるため用意してある。
今回のようにな。
では、弟子入りを
認められた者はどうやって
ギーマ老師のところへ?
私はドラゴンマスターの
一族に連なる者。
ドラゴンとの戦闘を避け
魔竜山へ
立ち入ることが出来る。
ドラゴン
マスターっ!?
サララが素っ頓狂な声を上げた。
どうやら彼女はドラゴンマスターについて
何か知っているらしい。
でもこの驚き方は普通じゃない。
何なんだろう、ドラゴンマスターって?
少なくとも僕は聞いたことがない。
ドラゴンマスターって?
遙かなる古の時代に
ドラゴンの神と
契約を交わした一族です。
ドラゴンを使役し、
統率する力を持つらしい。
だが何万年も前に
滅びたと聞いている。
……なるほど、
体が丈夫なのは
そういうことか。
どういうこと?
ドラゴンマスターは
鋼の肉体を持ち、
状態異常攻撃も
効きにくいと聞く。
えっ!? 状態異常が
効きにくいって
僕の体質に似てる……。
博識ね、あなたたち。
俺は真祖の
ヴァンパイアだからな。
長く生きていれば
色々な知識も耳に入る。
私は魔王ノーサス様から
聞いたことがあったので。
ノーサス……ね……。
あのっ、サララは
ノーサスの知り合い
らしいですけどっ、
悪い子ではないので
安心してください!
トーヤくん……。
ティアナさん、
心配しすぎですよぉ♪
そうか、それならよい。
…………。
ちなみにこの魔方陣も
ドラゴンマスターしか
扱うことが出来ない。
もし隠し部屋の存在が
バレても安心というわけ。
さぁ、
みんな魔方陣に入って。
僕たちはティアナさんに従い、
魔方陣の中に入った。
ギーマ老師と会うのは久しぶりだなぁ。
やっと薬のことを学ばせてもらえる。
もちろん事態が落ち着くまでは
無理かもだけど。
次回へ続く!
なんでだろう…あってるかわかんないですけどあの人が段々怪しく見えてきて怖い…結構好きだったんだけど…