無駄じゃなかったろ?

くそがっ!!

守面掌の壁を打ち破り、

幻角にようやくまともなダメージを与えることができた敬介たち。

そして、今まで自ら攻撃を仕掛けることのなかった幻角が前へ歩き出した。

ようやく動いたか。

大宮、もう小細工は通用しないはずだ。
二人で行こう。

ああ。

まずはおまえからだ!!

幻角は一旦立ち止まって大宮を指差した。

連携の要はお前だ。
お前があいつに合わせて攻撃しているんだろ?

やっぱりバレてたか。

はっ?
お前合わせてたのかよ。

お前が実力だと思っている力は、そいつのおかげってことだ。

なことどうでもいいだろ。
勝てばいいんだ。

なんか納得いかねぇけど……。
まぁ、いい。

再び歩き始めた幻角が大宮の方へと向かい始め、

先に攻撃しようと敬介は走っていく。

打面掌(だめんしょう)。

あっぶねぇ~。
なんだ今の?

初めてこの公園で戦った時以上に殺気立った攻撃で、

敬介は思わず屈んで回避した。

オラァッ!!!!

ぐわーーー!!!!

形山!!!!

一度は攻撃を避けたのだが、

起き上がろうとした瞬間に腹部に打面掌を受けてしまった。

あ、がぁぁ…………。
がはっ。

ふっ。
あばら何本かいったか?

みぞおちの辺りを押さえながら吐血し、

敬介は全く動けなくなってしまった。

てめぇ!!!!

ふっ。

くっ。

大宮の拳はあえなく片手で受け止められてしまった。

拳に力を込めて幻角の掌を押すが、

手が震えるだけで全く前へと進まない。

その頃。

矢島の指示で境界面から出てきたシャドーを町へ出さないために、

美咲は討伐して回っていた。

巻羽!!

ぐぎぃぃぁぁああ!!!!

ぐぎぃぃぁぁああ!!!!

ぐぎぃぃぁぁああ!!!!

美咲の攻撃が公園から出ようとするシャドーを滅していく。

だいぶ落ち着いてきたかしら。

飛んでいた美咲はゆっくりと地面に降り立ち、

背中の天之翼をしまった。

辺りに潜んでいないか茂みなどを見回る。

もう大丈夫かな。

誰!!

まっ、待ってくれ!!

人!!

潜んでいた人物が人だったため、

慌てて天之翼をしまった。

ふぅ。
助かった。

こ、こんなところで何してるんですか?

美咲の殺気が消えると男は安堵した。

現状に驚き、

なぜこの場にいるのか男に尋ねた。

そりゃあ、俺は刑事だからな。

け、刑事さん?

男は答えると、

ズボンのポケットに入っていたタバコを取り出し、

口にくわえ火をつけた。

それより……、
君も向こうで戦ってる男の子達も、
光術士ってやつなのかい?

え!!

男はタバコを一吸いすると、

その一言で美咲を驚かせた。

第2章---三幻僧編---(57話)-点線面⑦-

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