幻重に続き幻流も破れ、残るは強敵の幻角。

攻撃を仕掛けても光術を打ち消され、

敬介と大宮は全く歯が立たない状況だった。

あの技を使われるとなると、遠距離攻撃は効かないか。

くっ……。
けっこうダメージがひどいな。
光力が薄れていく。

もう終わりか?

終わってねぇ!!

体は雨や泥で汚れ、

敬介は右拳を地面に当てながら、

ぼろぼろの状態で立ち上がる。

その姿を見た大宮も同じく、立ち上がった。

お前を倒せずに屈したら、
光術士になった意味がねぇんだ!!

そういうことだ。
俺もお前なんかに負けちゃあ、あいつには勝てないからな。

珍しく意見があったな。
大宮。

さっさと倒そうぜ。
形山。

なんだその茶番は?
戦いは殺すか殺されるかだ。
だから俺がお前らを殺す。

幻角は両手に影力を纏いながら、

鋭い眼光で敬介と大宮を睨み付ける。

行くぞ!!

はあっ!!

お前の攻撃は俺が止めるぜ。

敬介が幻角の攻撃を受けそうになると、

瞬時に大宮がその拳とぶつかり合い、

地面を滑るように5m後ろへ後退していった。

ちっ。

よそ見してる暇はないぜ。

大宮の防御の際に、

空中へとジャンプしていた敬介は、

右足に光力を纏いながら幻角を目掛け落下する。

上か。

守面掌(しゅめんしょう)。

幻角は両掌を前へと伸ばすと、

目の前に影力の壁が現れた。

敬介の蹴りは守面掌の壁によって弾かれ、

直後に、その壁も消えた。

簡単にはいかないよな。

着地の際に泥が顔に跳ねて、さっと拭う。

連携はまだ慣れてないようだな。
隙だらけだ。

まぁ、見てろよ。
俺達の力を。

敬介と大宮はまたも走り出した。

吼拳。

無駄だ。

無駄じゃないさ。

腱撃!!

雑魚がっ!!

敬介と大宮は同時に幻角に攻撃できるように、

タイミングを合わせた。

幻角は守面掌で壁を作り防御する。

すると、

その壁の出現を見た敬介は空中で左に半回転し、

光る右足を幻角に向けて突き出した。

からの腱撃波!!

何?

はぁっ!!

ぐっ!!

第2章---三幻僧編---(56話)-点線面⑥-

facebook twitter
pagetop