敬介は新技、腱撃波で幻重を倒した。

時は数十秒前に遡る。

わかったよ!!
やれるもんならお前がやってみろ!!

ひどい仲間割れだね。
あっはっはっは!!!!

大宮に下がるように言われて、

幻重から離れていく敬介は、

幻重に背を向け歩きながら小さく笑っていた。

やれやれ。
最初からそうすればよかったんだよ。

幻重が敬介を笑いながら、

大宮に視線を向けて指差した頃。

絶対に当てる。
これが成功するチャンスは、やつが俺をバカにしている今の1回だけ。

右足首に光力を込め、

体を左に半回転させながら一気に右足を蹴り出した。

右足にはいつも通り光力は留まらずに、

光の塊は敬介の足から離れ、

幻重へと飛んでいく。

君と戦うほうが楽しそうだ…………

ぐわーーー!!!!

が……ぁああ…

幻重はその場に倒れこんだ。

当たったな。
まさか、タイミング良く挑発してきてくれるとは思わなかったぜ。

不意打ちだけど、
ああするしかなかった。

不意打ちでの勝利となってしまったが、

倒れている幻重に近づき呟いた。

俺の勝ちだ、幻重。

……………………。

三幻僧の幻重は敗れた。

くそっ!!
あの野郎、やられやがった!!!!

よそ見している場合じゃないだろ。

ちっ。

幻流の相手を引き受けていた矢島と美咲は、

以前戦った時よりも大きくリードしていた。

形山君と大宮君やったんだね。
あ、境界面が消えていく。

幻重、敗れたか。

境界面の柱である大点杭を担っていた幻重が倒れたことで、

影力が消えて強制的に術が解除された。

作戦は成功。
次はお前だ、幻角。

来い。
三幻僧の目的を邪魔したお前らを生かしちゃおかねぇ。

敬介が幻角を指差すと、

両者走り出し戦いは始まった。

境界面が消えた。
美咲ちゃん、シャドーの残党を頼む。

任せて。

矢島の指示を受け、

美咲は翼を広げて飛んで行った。

あっさり行かせてくれるんだな。

まずはお前からぶっ殺すからな。

お前もそろそろ限界か?

何だと?

まだ戦いの傷は癒えてないようだが。

お前へのハンデさ。
俺がこのくらい深手を負ってないと、この状況じゃあ簡単にブチ殺しちまう。

幻流の刀とは相性が悪く、

なかなか弓を放つことすら出来なかった矢島だが、

幻流の腹部の傷を見てから大きく後ろへと飛び退いた。

離れても無駄だ。
お前に弓は引かせない。

双十線!!!!

矢島との間合いを詰めるために、

幻流は再び走りこんでくる。

この弓はただ受けるだけじゃない。

矢島の持っている光弓が細く研ぎ澄まされていく。

三日月の太刀(みかづきのたち)。

ぐふっ…………。

第2章---三幻僧編---(54話)-点線面④-

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