幻角が術のために動けなくなっていると思い、

境界面の破壊をしようと、

幻重か幻流のどちらかを倒す作戦を実行することになった。

幻流が前線に出てきたので矢島と美咲に任せ、

敬介と大宮は幻重と対峙する。

さっきは油断してくらっちゃったけど、次はそうはいかないさ。

吼波!!

大宮は飛んできた点杭を吼波で飲み込み、

跡形もなく消し去った。

おっしゃ、行くぜ。
幻重!!

銀髪と違って、
お前は打撃だけの能無しだからな。
たいしたことない。

なんだと!!

声を荒げながら幻重の懐まで飛び込み、

右足を振り回すのだが、

あっさりと点岩礁で防がれる。

ほらね。
銀髪と役割交代したら?
待っててあげてもいいよ。

またバカにしやがって!!

敬介はムキになり、

夢中で何度も蹴りを入れていくのだが、

壁となっている点岩礁は崩れては再生の繰り返しで、

全く効果がない。

そうか……。

敬介の様子を眺めながら、

何かを思いついた大宮は敬介へと声をかけた。

形山!!
やっぱりお前じゃダメみたいだ。
俺と代われ。

あっはっはっは!!!!
仲間にまで言われてるね、君。
いいよ、待っててあげる。

てめぇ。
どういうつもりだ。

大宮の提案を聞いて、

敬介と幻重の攻防はいったん止んだ。

幻重は腹を抱えて大笑いし、

敬介は大宮を睨んでいる。

ふっ。
雑魚は早く下がれ。

わかったよ!!
やれるもんならお前がやってみろ!!

ひどい仲間割れだね。
あっはっはっは!!!!

敬介がしぶしぶ幻重の元から離れていき、

代わって大宮が前へと歩き出した。

やれやれ。
最初からそうすればよかったんだよ。

背を向けて下がっていく敬介の後姿を笑いながら、

近づいてきた大宮を指差した。

君と戦うほうが楽しそうだ…………

ぐわーーー!!!!

が……ぁああ…………あ。

雷と共に青白い衝撃が幻重の体を貫き、

そのまま地面に倒れこんだ。

お前、油断したな。

大宮の表情に笑みが浮かぶ。

……………………。

決まったぜ。
新技、腱撃波(けんげきは)。

第2章---三幻僧編---(53話)-点線面③-

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