ここより先は、本編の核心に触れる内容が含まれます。


ご覧になる前に、今一度、

これまでの内容をご確認ください。

そもそも、なぜアダムスキーさんは犯人が分かったんですか?

逆に聞くが、お前だったら何をもって、術を用いて化けている相手が犯人かどうか見分ける?

……

違和感がないってことは、[似姿の利用]を用いているんですよね。ってことは、制限があるから……

『怪我した人は犯人じゃない』とか……

それも判断材料の一つだ

正確には、『怪我をした人物はその時点では本人である可能性が限りなく高い』ってところだがな。他には?

うーん……蛇人間って外見だいぶ違うんでしょうか?
だったら、なんとか室内で影を見るとか……

なんて言って見せて貰うんだ?

それは……

……お前がその程度の認識だったってことはよく分かった。目星がついてないんだろうってこともな

はい、だから分からないんです。誰が犯人なのか、さっぱり……

今回、俺が初めてサスリカに来た晩

イリヤと会う前に、こいつを5、6本喫(の)んだ

――DAY 0――
「24時半の来訪者」

……ふう

月もこの町も、随分丸くなったもんだ

それとも丸くなっちまったのは俺の方かい?

宿屋には窓はあるが、さすがに臭いは部屋に籠ってただろ?

??

……とかな?

それがどう関係あるんですか?

もっと説明しなきゃ分からないか

そうだな、ここからは有料だ

俺もタダで情報を提供するほどお人よしじゃねぇ

えっ、そんな

すみません、僕お金はあんまり……

別に金なんて言ってないだろ?

代わりにお前の持ってる情報をくれたら教えてやるよ

僕の持ってる情報? ……って、何ですか?

簡単なことさ。

お前が考え見聞きし行動してきたことを、俺の話に付け加えてくれりゃいい

俺だけではジグソーパズルを完成させられねぇ

お前の持ってるピースも寄越せ

……それで、僕の知りたかったことも明らかになるのなら

契約成立だな

じゃあ早速教えてくれよ。今、何を考えてこんなことをしてる?

???

ちなみに俺は、煙草の事なんかを考えてたぜ

あの時俺の部屋では煙草について一言も触れなかったお前が、昨日の朝、一晩経った上着にわずかに染みついた煙草の臭いを嫌がったのはなぜか、ってな

!!

目に見えた動揺を斜目に収め、

アダムスキーは煙草を放り投げる。

――DAY 5――
「紫煙」

……ファイーナさん、何かつけてます?

あ、もしかしたら煙草かも……苦手だった?

ああ……僕ちょっと苦手で……

……あそこにいたのはファイーナだけだったのに、よく知ってますね

『誰かが見聞きしたことは、必ず俺の耳に入ると思っておけ』って、言ったよな?

ああそれと、行動もそうだが、お前、発言にはもうちっと気を遣った方が良いぜ

アダムスキーはリーリヤの手記を掲げた。

『こんな内容なのに犯人が置いておいたとしたら変です』

ってお前、手記を見る前から言ったんだよなぁ

え……

あそこは時間を稼ぎたいだけだったが、あんな言葉が聞けるとは思わなかった

――――『偽りの証言と偽りの魔術』

リーリヤ嬢ちゃんは、手記によれば、サスリカへ行く前はイリヤに何も言わずに旅立った。
そして、彼女が行方不明になってからイリヤは来た

来たときにイリヤが知らなかったのは確実だ。知ってたら、あんな態度でいるはずがないからな

そして実は、俺はこの手記を3日前には手に入れていた

……なあ、教えてくれよ

サスリカに来てから3日、どこに、この手記の内容を知る暇があった?
知ったとして、なぜ何も言わなかった?

……

もちろん、この手記を見つけていたら『お前』が回収しないはずがない。実際に見たことはなかったんだろうさ

だが、内容はすぐに予想がついたんだろう? いろいろ聞き出していたみたいだからな。

……本人から

……

もちろんお前をここに呼び出した時点で、確信してたがな……

……お前がイリヤに成り代わった、蛇人間だってことは

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