アダムスキーは、直接答えることなく語りだした。
一冊の日記を、取り出す。
さて、この馬鹿げた日々を、渦中の樹海で終わらせようか
!
なんか……誰もいないのに解決するって、変な話ですね。本当にここで終わらせられるんですか?
魔術一つで済むなら、邪魔者がいない方が楽だからな
な、何を……するんですか
ここに一冊の手記がある
アダムスキーは、直接答えることなく語りだした。
一冊の日記を、取り出す。
開いてみれば分かるが、この手記の持ち主は、リーリヤ・イリイーニシュナ・パヴロフ……
……嬢ちゃんだ
リ、リーリヤの?!
渡されたそれを抱きしめるように受け取ると、
ゆっくり顔を上げる。
……どうして、アダムスキーさんはこの手記を手に入れたんですか? どこにあったんですか?
どうして、か
あの紙同様、外に落ちてたのを拾ったんだよ
紙って、アルセニーって人の顔とリーリヤの文字が書かれたこれですか?
ああ
そういやその紙、内容がしっかり読み取れるくらいには綺麗だな。一方、数日前にお前が汚しちまった、リーリヤの似顔絵は少ししか雪風に晒されていないのに使えなくなっちまった
その紙、落ちてからすぐに発見されたんだろうな
濡れ……
何か違和感が……
この日記と、さっきの言葉……
……そういえばこの手記、どのページにも、濡れて乾かしたような跡がないです
やっぱり、外に落ちてたんじゃないですよね?
……ああ、俺の記憶違いだった。宿屋に落ちてたんだよ
そんなのあり得ないです
あんな小さい宿屋なんだから前からあったらアダムスキーさんが来る前に誰かが気づいてるはずだし、こんな内容なのに犯人が置いておいたとしたら変です
……
なんで、そんな嘘を……
……ふふ
?
ああ、そうだな。お前の言うとおりだよ。これは多少特殊な経緯で入手した
だが、そんなことより、内容が気になるだろ? この最後に面白い内容が綴られていた
……う、嘘だ……リーリヤが、そんなこと……
俯きよろめいて頭を抱えたところに、
アダムスキーはさらに言葉を重ねた。
いなくなったはずの人物がまた姿を現す
嬢ちゃんがやったことと同じことが、一昨日の夜から起きてるよな
…………アルセニー
そう。アルセニーの墓には骨がそのまま残ってたって言ったよな?
もちろんそれでも可能性は完全に否定できないが、誰かが化けてるって考えた方がしっくりくる
この……[平凡な見せかけ]の魔術を使って、ってことですか?
アルセニーの時はそうだろうな
そして、この町では他にも、姿を変える魔術が使われていた
[CONSUME LIKENESS]
(似姿の利用)
……死んで間もない者の肉を食らうことで、自在にその者に外見を変えられるようになる術だ
!