――野沢心は助けられない。
――十年分、歳をとった日泉桜の写真。
――六十部紗良は私立探偵。
訳の分からない真実を告白された時、俺はどんな顔をしたら良いんだろうか? もう笑うことしか出来なかった。
――野沢心は助けられない。
――十年分、歳をとった日泉桜の写真。
――六十部紗良は私立探偵。
訳の分からない真実を告白された時、俺はどんな顔をしたら良いんだろうか? もう笑うことしか出来なかった。
し、私立探偵! 高校生で? アハハ、漫画みたいな設定だな
そう、私は余り漫画を見ないからそういうの分からないわ
アハハ、そうですか
鮫野木くんには私が嘘つきに見えも仕方が無いわね
…………
俺は動揺している。写真を見たせいもあるが、信頼していた六十部がいくつかの嘘を付いていた。その事がショックだった。
六十部、俺はお前を何処まで信じれば良い?
無理に全部、信じなくても良い。けれど、これ以上あなたの手伝いは出来なことは確かよ
それを信じたくないんだが
……ごめんなさい
冗談では無い。六十部が冗談を言う時は嬉しそうにしているはずだ。もし、これが冗談ならば俺は怒るぞ。
マジなんだな、全部
ええ、ここであなたと話したことに嘘は無いわ
野沢は本当に助からないのか?
ええ……
どうしてだ。何で助からないんだ!
い、痛いわ、鮫野木くん
俺は知らないうちに六十部の胸ぐらを掴んでいた。そのせいで制服が乱れてしまった。
――っ、ご、ごめん
最低だ。俺
良いの、あなたが怒る事は分かっていた
だから、あなただけに本当のことを話したのよ
それって?
六十部は落ち着いた様子で曲がった制服を着直した。
俺はどうしたら良い?
……
俺はアイツを助けるって、約束したんだ!
簡単な事よ――
六十部の喋る途中で遠くから聞き覚えがある悲鳴が聞こえた。
中庭からね
クソ
鮫野木は急いで中庭に戻った。六十部は一人、小さくなる背中を見つめていた。
ハァ、仕方ないわね
中庭に駆けつけてきた鮫野木の目に衝撃的な光景が入ってきた。日泉は膝から崩れ落ちて怯えている。小斗は野沢の前に立ち、両手を広げかばっている。小斗に立ちふさがる男は金属バットを持ち怖い顔をしている。二人は睨み合って一歩も動けずにいた。
……
……
……藤松
金属バットを持ってた男は鮫野木が良く知っている藤松紅だった。良く見ると、藤松の奥に凪佐ともう一人、ギャルぽい女の子が居る。
鮫野木か
お前、何やってるんだ?
そんなの、見れば分かるだろう。終わらせるんだ
お前からも言ってくれ、野沢心をかばうのを止めるように
ハァ?
感動の再会とはほど遠い、最悪な再会だった。鮫野木は小斗に近づいて様子を疑った。
ユキちゃん何があった?
うん、それがね。私にも良く分からない、心ちゃんを探していたから教えたのそしたら……
そうか、もう大丈夫だ。悪かったな
うん
肩の力が急に抜けて、小斗はその場に座り込む。
あの、鮫野木さん――
小声で不安げに話しかけてきた野沢に鮫野木は笑顔で答える。
何も問題は無い。ただ、勘違いしているだけだ
鮫野木はニヤニヤと藤松に一歩近づき、普段通りに話しかけた。
よう。久し振りだな。藤松、凪佐。どうしたんだ? そんな怖い顔をして、落ち着けよ。女子達が怖がってるぜ
相変わらずだな、鮫野木はそういうところが好きなんだがな
嬉が、出来れば可愛くて元気な女の子に言われたいぜ
お前の好みを聞いたじゃ無い
そうか、ならその重そうな物を離そうか
それは無理な相談だ
藤松は金属バットを強く握りしめる。
二人は知らないだろうが、その野沢心を倒せば……全部終わるんだよ。元の世界に帰れるんだよ
鮫野木、お前だって分かっているんだろ? この世界が普通じゃ無いって
ああ、身を待って知った。俺だってさっさと帰りたい、見たい生放送とか新しい動画がうpされているだろし、魔リカの最終回も見たいしな
なら、分かるだろう?
分からないな
俺はやらなきゃ行けないことがあるからな
そう……か
完全に意見が食い違っている。原因は恐らく野沢心だ。藤松は野沢を倒したら帰れると言っているが倒すって、そのバットでどうするつもりなんだ。