コーヒーを飲んでいると心が落ち着く用だ。コーヒー独特の苦味が関係しているのだろうか? それとも香ばしい豆の香りが良いのか。マスターが入れるコーヒーが美味いことは確かだ。

鬼灯先生

美味しいな、どんな時でも

六十部武蔵

そうですね。流石マスターさんだ

マスター

……

 マスターは黙々とカウンターでコーヒーを入れている。

鬼灯先生

砂糖を入れている奴がコーヒーの味が分かるのか?

六十部武蔵

入っていても分かりますよ

吉良助教

まあまあ、二人とも好みは人それぞれですよ

 ブツブツ言いながらもコーヒーを飲み続ける。

鬼灯先生

さて、そろそろ本題に戻すぞ

六十部武蔵

そうですね。では、現在で私と吉良くんで調べた情報を整理しますか

吉良助教

ですね。なら自分から、前にも見せましたが廃墟について、少し前に取り壊し工事の急な中止。倉庫のために作られた広すぎる地下室の二つです

六十部武蔵

それとK・S記念病院にて入院中の六名と亡くなった十八名の共通点が廃墟の中で気絶してた。吉良くんと合わせて三つですね

鬼灯先生

廃墟ね……あそこに何かあるのか

吉良助教

もしかしたら、幽霊に呪われていたりして

鬼灯先生

それはない

六十部武蔵

それはないでしょう


 鬼灯と武蔵がハモった。普段、噛み合わない二人がこういう時は意見があった。

ミミタン

やっぱり、二人は仲が良いね

鬼灯先生

美見、私はコイツとはただの知り合いだ

ミミタン

えっ、そうなの?

六十部武蔵

そうなんですか? 私は親友だと

鬼灯先生

まったく、酷い冗談だ

ミミタン

あれれ?


 噛み合わない時はとことん噛み合わない。今も喧嘩をしそうな雰囲気を出していた。

吉良助教

あの、それぐいして、これからどうするか話しませんか?

鬼灯先生

それもそうだ

六十部武蔵

ですね。そのために集まったのですから

ミミタン

私は仕事に戻るね。後で決まったこと教えてね。私が出来ることなら協力するよ!

鬼灯先生

ん、私から連絡しよう

ミミタン

それしじゃ、ごゆっくり


 美見は頭を下げて、席を後にした。

鬼灯先生

さて、お前達はどうする気だ? 目星は付いているんだろ

吉良助教

そうですね。本当は廃墟に行って調べた事があるんですが、ミイラ取りがミイラになんて事がありますね。廃墟を調べる前に色々調べたいことがありますね

鬼灯先生

だな

吉良助教

なので取り壊し工事をしようとした工事会社を当たってみたいと

鬼灯先生

……気になるよな

六十部武蔵

私は犠牲になった十八名と昏睡状態の六名について気になる点があるので、それを調べたいかと

吉良助教

気になる点ですか?

鬼灯先生

どんな点だ

六十部武蔵

まだ、ハッキリとしていないのと、私の勘違いの可能性があります


 武蔵は浮かない表情を浮かべている。

鬼灯先生

そうか、待つしか無さそうだな

吉良助教

えーと、実は鬼灯先輩と小斗先輩に行ってほしい所があるんですが

鬼灯先生

私と美見が?

吉良助教

ここなんですけど


 吉良はタブレットを操作して、地図アプリを表示させた。

鬼灯先生

BARオーシャン?

吉良助教

そこに、明日の十時に行ってもらえませんか? そこで協力者と会って欲しいんです

鬼灯先生

協力者って誰だ?

吉良助教

廃墟の図面を提供してくれた人です

吉良助教

BARオーシャンに入ったら店長に(蒼い海の底)と言ってください。そしたら分かります

鬼灯先生

蒼い海の底ね

吉良助教

それと、お願いがあるんですけど


 吉良は両手を顔の前に合わせる。

吉良助教

BARオーシャンに行く時、小斗先輩にメイド服を着て欲しいんですが

鬼灯先生

ん? 良く分からんが?

吉良助教

それが、協力者の希望と言うか、条件と言うか……

吉良助教

すみません。どうしてもメイドが見たいそうで、連れて来ないと協力してくれない変わった人なんです

鬼灯先生

ハァ、仕方ない私から話付けておく、その協力者が頼りなったら……どうなるか分かっているな?

吉良助教

心配しないでください。性格はアレでも、頼りにはなりますから

鬼灯先生

ほう


 吉良がここまで信用している人物なら信用しても良いか。けど、人間性に問題がありそうだがな。

鬼灯先生

明日の十時だったな。それなら美見も仕事が終わっているから、問題はなさそうだな

吉良助教

お願いします。僕は少し遅れてから行くんで、お酒でも飲んで待っていてください

鬼灯先生

ああ、おごってくれよ

吉良助教

アハハ、努力します


 苦い笑みを浮かべながら、吉良は一気にコーヒーを飲み干した。

六十部武蔵

ふふ、ついでにここの会計も払っておきますか?

鬼灯先生

おお、それは良いな

吉良助教

先輩、それは勘弁してください

 吉良の慌てる様子がおかしくて、笑みが浮かぶ。後に話し合って、コーヒー代を三人で割った。

 武蔵と吉良と別れて、鬼灯は美見に事情を話して外に出る。外は暗く、肌に冷たさを感じる。

鬼灯先生

じゃあ、また明日な

ミミタン

はい、ここで会いましょう!


 私が出来ることは少ない。出来ることなら、今すぐにでも眠っているアイツらを起こしてやりたい。しかし、現実はどうにもならない。私に出来ること、出来ないことはハッキリしていた。

エピソード23.5 先生の憂鬱2

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