敬介と大宮の作戦も成功し、

幻重に大きな一撃を入れることができた。

しかし、

直前に放たれていた点杭で囲まれた所から、

幻流とリーダーである幻角が姿を現した。

矢島と美咲も合流し、

光術士四人と三幻僧の三人が揃った。

こそこそ嗅ぎ回っていたようだが、
それも今日で終わりだ。

幻重、幻流!!

さてと、
始めちゃうよー。

お前らはこの後ぶっ殺す。

幻角が二人を呼ぶと、

幻重は影力を掌に込め始めた。

幻流は刀を抜いて矢島と美咲に向ける。

何かする気だ。
みんなで食い止めるぞ!!

はいっ!!

……。

援護は任せて!!

光術士側は矢島が号令をかけると、

一斉に駆け出した。

大宮は幻重、

矢島は幻流、

敬介は幻角に狙いをつける。

吼波!!

もう遅いよ。
大点杭(だいてんくい)。

幻重が大宮の攻撃をサッと避けると、

点杭よりも遥かに大きい電柱サイズの杭3本が、

濡れている地面に全て100m間隔で打ち込まれた。

間に合わなかったか……。

双線刀!!

矢島が駆けながら光弓を出すと、

幻流ももう1本の刀を生成して二刀流となった。

枝走り(えだばしり)!!

1本の矢は幻流に飛んでいく途中に、

その本体から1本、2本、3本と成長した。

広範囲に広がった矢からは逃れられない状況で、

矢島は次の手を打つ為に、さらに弓を構える。

こっからが本当の俺の力だ。

幻流は2本の刀を逆手持ちにして刃を交差させる。

双十線!!

ダメだ!
完全にやつらのペースか?

光の矢は全て切り刻まれ、光の粒となって消えた。

させない!!
天羽!!

無意味だ!!
次は俺の番だぜ!!

尖線道(せんせんどう)!!
はぁっ!!!!

幻流の刀から放たれた斬撃は、

美咲の天羽をあっけなく切り裂き、

幻重が打ち込んだ大点杭を目掛けて駆けていく。

斬撃は走り抜け、

3本の大点杭を結ぶように繋がり影力の柱となった。




敬介は幻角と打撃を打ち合っているが、

雨で足元がぬかるんでいて、

軸足の体制を維持できないでいる。

くそっ!!
みんな防げなかったみたいだ。
コイツだけは止めないと。

うっとしい!!
どけっ!!

ぐはぁっ!!

ぬかるみに足を取られたところを、

幻角の右拳が敬介の腹に打ち込まれる。

そのまま、泥にまみれながら10m程飛ばされた。

いいもん見せてやるよ。

幻角はほくそ笑むと両手の指を全て伸ばしたまま、

親指と人差し指で三角形を作った。

複合奥儀、
境界面(きょうかいめん)!!

三幻僧によって完成した三角形は、

幻角の一声で禍々しい影力を渦巻き始めた。

なんだあれは!!

境界面から出てきたそれは徐々に姿を変えていく。

第2章---三幻僧編---(51話)-点線面①-

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