駅前を調査していた敬介と大宮は一旦切り上げ、

繁華街を歩いていた。

駅前からしばらく話をしていなかったのだが、

突然、大宮が口を開いた。

なんで光術士になろうと思った?

こいつの方から話しかけてくるなんて、
珍しいな。

答える気なしか。

いや、
お前から話かけてくるとは思わなかったからよ。

街の賑やかな音の中で、

お互いぎこちなかったが敬介は話し始めた。

シャドーの存在を知る前に、
たまたま影石を拾って、
それが原因で襲われたことがあってさ。

…………。

今まで将来のことなんか、
全然考えたことなかったけど、
殺されそうになる時に、
やり残した事とかいっぱいあるって頭をよぎって、死にたくない、生きたいって思ったんだ。

そしたらさ、
誰にもこんな思いはさせたくない。
みんなを守るためには強くならなきゃいけないって思った。
だから俺はなったんだ、光術士に。

そうか。

あー。

なぜ、

突然こんなことを聞いてきたのか、

敬介は全くわからなかったのだが、

初めて自分の光術士への思いを伝えることができたことにどこか満足さがあった。

天野さんからだ。

敬介の元に美咲からメールが届いた。

ビルの屋上の時とは違う三幻僧が男の子に化けて襲ってきて、
なんとか矢島さんと二人で倒したけど、
リーダー格の男がその仲間を連れ去ったって書いてる。

俺達の行動をどこかで見張ってるのか。

そうらしい。

美咲からのメールを確認すると、

辺りに警戒しながら次の事件現場に向かう。

そして、

駅前から敬介たちを尾行している刑事の島本らは、

謎の失踪事件と敬介らの関連性を明らかにするため、

慎重に動向をうかがっている。

ばれないように少しずつ跡をつけながら歩き出す。

仲間から連絡でもきたのか。

また場所変えるみたいっすね。

ああ。
それと前に聞いた光術士というワードについて調べたが、なかなか出てこない。
鍵を握っているのは分かっているがな。

何にも情報がないんすね。

情報が出ないのが情報だ。
何者かが意図的に隠蔽してるんだろう。
他の人間には知られてはいけない何かがあるはずだ。

ってことは、
尾行が成功したら何か分かるかもしれないっすね。

繁華街からもう少しで出そうになった辺りで、

杉山が敬介らの後ろ30m離れた辺りを歩いている人物を発見する。

あれっ?
もしかしてあそこを歩いてるのって……。

そういって、

島本にも分かるようにその人物を指差した。

何だと!?
あいつは土田大悟(つちだ だいご)。
半年前に失踪したはずじゃ……。

そうっすよね。
何でこんなところに。

驚く二人が見かけた人物は、

敬介らもよく知る男の姿をして歩いていた。

…………。

第2章---三幻僧編---(46話)-尾行開始②-

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