河川敷で調査をしていた矢島と美咲。

途中で高校生くらいの男の子が手伝ってくれたが、

影石を見つけて立ち去ろうとすると、

突如シャドーへと変化した。

まさか、
君がシャドーだったとはね。
三幻僧の一人か?

ああ。
俺は“線”を統べる者、
幻流(げんりゅう)。
さぁ、早く影石を渡せ。

刃先を矢島に向けたまま1歩ずつ近づいていく。

矢島と美咲は幻流の動きから目を離さずに、

少しずつ後ずさりを始める。

仕方ない。
美咲ちゃん、いくよ!!

はい!!

矢島の掛け声と同時に光の弓と翼が現れた。

攻撃をさせまいと幻流は飛び掛る。

はぁーーっ!!

幻流の攻撃をかわすために、

二人は後ろへと大きく飛びのき、

30メートル先をめがけ矢島は矢を連続で放った。

放たれた矢は全て切り落とされ、

その矢の光の残骸の奥で不気味に微笑んでいた。

あんた弱いな。
その程度じゃあ、
この俺の刀には勝てないよ。

黙りなさい!!

美咲は一喝すると、

背中の翼から天羽を飛ばした。

しかし、同じように簡単に切り落とされてしまう。

似たような技ばっかだな。
離れてないで近くにきたらどうなんだ?
こないなら……いくぞっ!!

さらに距離を詰めようと勢いよく駆け寄ってくる。

そのまま矢島に切りかかるが、

とっさに左手に持つ弓でガードされて顔を歪める。

ちっ。

僕らを甘く見るなよ。

弓で防いでいると、

美咲が左半身がら空きの幻流に天羽を飛ばす。

その様子をチラッと見ると、

幻流はボソッと呟いた。

甘く見てんのはお前らだろ。

右手に持っている刀に力を込め、

左手を美咲の方へと向けて強く握った。

そんな……。

へっ。

二刀流か。

幻流の左手には、

右手に持つ刀と同じ長さの刀が握られていた。

その刀で美咲の天羽を防いでいたのだ。

だから甘く見るなって言ったろ。
これが俺の刀、双線刀(そうせんとう)。

そう簡単にはいかないってことね。

第2章---三幻僧編---(43話)-弓と翼①-

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