落ち着きを取り戻した野沢はベンチに座った。隣に座っている小斗が背中をさすってくれた。野沢は恥ずかしそうにしている。

小斗雪音

よしよし

野沢心

…………ウッ

六十部紗良

さて、助けると言ったけど鮫野木くん。具体的にどうするの?


 六十部が鮫野木の隣に立って、話しかける。

鮫野木淳

そうですね。野沢の抱えてる悩みでも聞けたら良いんですけど

六十部紗良

ハァ、鮫野木くんちょと良い

鮫野木淳

何です?

六十部紗良

あなたが今やろうとしていることは、本来の目的と違うこと分かってる?


 六十部は鮫野木の耳元に口を近づけて囁く、突然のことに体がビックと反応した。

鮫野木淳

わ、分かってますよそのぐらい、それと、やるなら「やる」て言ってください

六十部紗良

言ったわ

鮫野木淳

そうでしたっけ

六十部紗良

本当、生意気ね


 鮫野木と六十部が話し終わったとき、野沢は話し出した。

野沢心

あの、あなた達はいったい何者なんですか? 僕の事、調べてるようですけど?

鮫野木淳

そういえば、自己紹介がまだだったな。俺は鮫野木淳。調べ事をしてたら、お前が重要な情報を知ってるかも思ってここに来たんだ

野沢心

そうですか

六十部紗良

次は私ね。私は六十部紗良、鮫野木くんと共に行動しているわ。よろしく

野沢心

はい、よろしくお願いします


 野沢は怯えた様子で答えた。

鮫野木淳

それじゃ怖いよ、六十部さん

小斗雪音

私は小斗雪音、淳くんとは同じクラスで紗良ちゃんとはクラスは違って、好きな物はお姉ちゃんが入れたコーヒーと手作りのケーキだよ。それと……

鮫野木淳

小斗ちゃん話がそれてる

小斗雪音

アハハ。ごめんごめん。よろしくね! 心ちゃん

野沢心

はい。こちらこそ


 野沢は小斗に心を開いているらしく、表情が軽い。

鮫野木淳

所で君は誰?

日泉桜

あ、私ですか、私は日泉桜(ヒイズミサクラ)です。心ちゃんとは……その

六十部紗良

……

野沢心

友達ですよ

日泉桜

心ちゃん良いの? 私、心ちゃんに悪いことしてた

野沢心

もう良いです。別に怒ってませんし、助けようとしてくれましたしね

日泉桜

……ありがどう

野沢心

例を言うのはこっちです


彼女達に何があったのか今は聞かないでおこう。彼女達にも何か問題があったのだろう、わざわざ聞くのは野暮だろう。

鮫野木淳

何かあったようだけど、俺はお前を助けないといけない、そろそろ聞かせてくれ

野沢心

はい、噂のことですよね

鮫野木淳

ああ、何があったんだ?

野沢心

何があったですか。今さらですけど話した後に助けるの止めないでくださいね

鮫野木淳

ああ、多少のことでは驚かないぜ

野沢心

まぁ、あなたたちだから話すんですけど


 野沢は大きく深呼吸をして語り出した。

野沢心

アレは僕の父が送ってきた手紙から始まったんです


 彼女は辛い気持ちを押し殺して、忘れたい忘れられない思い出を語る。

エピソード18 カゴメ中学校の噂(8)

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