商人ギルドへ行った僕たちは、
副都行きの船を見つけることが出来た。
なぜなら、副都へ向かう交易船が
高頻度で運航されていたから。


積み荷はアンカーで発掘されたミスリル。

ほかの地域ではミスリルの発掘量が
減っているという話になっていたけど、
実際にはそうじゃなかった。


どうして真実がねじ曲げられて
伝えられていたのだろう?

その辺はやっぱり気になる……。



そこで僕はその日の夜、
泊まった宿で同部屋のクロードへ
そのことについて聞いてみることにした。
 
 

トーヤ

ねぇ、クロード。
ちょっといい?

クロード

どうしました?

トーヤ

交易船の話なんだけど、
ミスリルは発掘量が
減っているって
話になってたよね?

トーヤ

でも実際には
大量に発掘されて
副都へ送られていた。
何かおかしいよね?

クロード

……トーヤも
気付いていましたか。
えぇ、これには何か
裏がありそうです。

 
 
やっぱりクロードも
違和感に気付いていたみたいだ。

でもクロードは商人だし、
マイルさんから調べるように
言われていたんだから当然だよね。
 
 

クロード

早速、魔法の便せんで
マイルへ詳細を
報告するつもりです。

トーヤ

それって魔法の力で
相手に直接届くんだよね。
僕もアレスくんとの
やり取りで使ってる。

クロード

――トーヤ、もしかしたら
ミスリルの一件は
大事件の前触れかも
しれません。

トーヤ

どういうこと?

クロード

ご承知のようにミスリルは
武器や防具の材料として
優れた性質を持っています。

クロード

それを大量に集めるなんて
まるでこれから戦争でも
起こそうとしている
みたいじゃないですか……。

 
 
確かにそうだ。物騒な予感しかしない。

未だ魔界は完全に落ち着いていないし、
女王様に反発するヤツらもたくさんいる。



噂では副都に対抗勢力が
集まり続けているって聞くもんなぁ……。
 
 

トーヤ

今回のこと、女王様に
報告しておいた方が
良さそうだね……。

クロード

その方が良いでしょう。
では、お互い今夜のうちに
手紙を書いて
送ってしまいましょう。

トーヤ

そうだね。

 
 
その後、僕たちは手紙を書き、
魔法の便せんに秘められた能力を使って
それぞれ相手に送った

今は何事も起きないことを祈るばかりだ。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
翌日、僕たちは港へ向かった。

ギルドのお姉さんから受け取った
案内書によると、
この船着き場でいいはずなんだけど……。


その時、ちょうど荷物を運び入れている
船員さんが通りがかったので、
訊いてみることにする。
 
 

トーヤ

あの、すみません。
この船の船長さんは
ウィルさんという方ですか?

船員

そうだ。

トーヤ

今、ウィル船長は
どちらに
いらっしゃいます?

船員

おそらく船長室だろう。

トーヤ

そうですか。
教えてくださり
ありがとうございます。

 
 
船員さんは忙しいのか、
すぐにどこかへ行ってしまった。

ちなみに彼らが船に運び込んでいるのは
やっぱりミスリルみたい。
木箱の中身がチラッと見えたけど、
中に延べ棒が入っていたから。
 
 

トーヤ

僕は運賃を支払いに
船長室へ行ってくるから
みんなは甲板で待ってて。

ライカ

確かに大人数で行っても
ご迷惑になりそうですね。

サララ

ではでは、
この場はトーヤくんに
お任せします。

トーヤ

クロードは一緒に来て。
僕に分からない話が
出るかもしれないから。

クロード

承知です。

カレン

私も行くっ!

トーヤ

じゃ、エルムとロンメルは
サララやライカさんと
一緒に待ってて。

ロンメル

御意。

エルム

分かりました。

 
 
こうして僕とカレン、
そしてクロードは船長室へ向かった。

ウィル船長ってどんな人なのかなぁ。
 
 

 
 
 
次回へ続く!
 

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