地底都市アンカーを出発した僕たちは、
外へと続く道を歩いていた。
つまり一度通った道を
引き返す形になるわけだ。
ここでは相変わらず
商人や荷物を運ぶ人の姿が多く見られる。
地底都市アンカーを出発した僕たちは、
外へと続く道を歩いていた。
つまり一度通った道を
引き返す形になるわけだ。
ここでは相変わらず
商人や荷物を運ぶ人の姿が多く見られる。
次の目的地は副都かぁ。
カレンの故郷なんだよね?
まぁね。家を出て以来、
初めて戻ることに
なるわね。
でも家には寄らない。
誰とも会いたくないから。
……そうなんだ。
カレンの家庭には
複雑な事情があるみたいだからなぁ。
これ以上は聞けない。
でもきっとカレンなら
いつか自分から話してくれると思う。
ここから副都まで、
かなり距離が
離れてますよね。
ルートはどうしましょう?
あっ、そうですよね。
移動に時間も
かかりますしね。
トーヤ、
何か忘れてませんか?
えっ?
アンカーを出た場所に
便利なものが
あるじゃないですか。
何かあったっけ?
便利なものって何だろう?
ノースエンドまで戻って陸走船にでも
乗ろうってことなのかな?
でもあそこまで戻ると遠回りになっちゃう。
だからここから直接、
副都へ向かって歩いていった方が
早そうな気がするけど……。
僕が考え込んでいると、
不意にサララがパチンと手を叩いて
合点がいったような顔をする。
分かりましたぁ!
船ですね?
確かアンカーの近くに
港があるって
言ってましたもんね?
サララ様、大正解ですっ!
そっか!
掘り出したミスリルは
船を使って世界中に
運ばれてるんだもんね!
はい、副都へ行く船も
きっとありますよ。
副都は海に
面していますので。
海ですかぁ……。
僕、海を見たことが
ないですし、
船に乗るのが楽しみです。
ふむ、船旅か。
退屈でつまらん。
海に落として
あげましょうか?
ヴァンパイアって
流水が苦手なのよね?
溺れちゃいなさいよ。
カレンはこの上なくニコニコしている。
逆にそれが怖いんだけど。
隙あらばロンメルを倒そうとするよね……。
この敵対意識はクロードに対してのものとは
比べものにならないくらいに強い。
僕としては仲良くしてほしいんだけどな。
残念ながら
俺には流水など無意味。
下っ端のヴァンパイアと
一緒にするな。
真祖のヴァンパイアって
意外にすごいのね。
『意外に』は余計だ、
無礼者。
主によって
禁じられていなければ、
干からびるまで血を吸って
殺してやるものを。
舌がツンツン刺されるような
刺激があって、
不味そうだがな。
私も吸わせる気なんて
ありませんし。
――っていうか、
そんな気配を見せたら
八つ裂きにしてやるわよ!
ケンカしないでよぉ……。
トーヤも苦労の種が
尽きませんね。
クロードさんったら。
トーヤさんだって、
クロードさんにだけには
言われたくないと
思ってますよ。
…………。
旅は賑やかになったけど、
本当に頭が痛いなぁ。
みんな仲良くしてくれるのが
一番いいんだけど。
でもどうしても気が合わないって相手も
いるもんだしなぁ……。
それから数日後、僕たちは港へ到着した。
辺りには潮の香りが漂い、
桟橋にはたくさんの船が停泊している。
そして周りにはたくさんの商店や家が集まり、
メインストリート沿いに市場も出ていた。
もっと閑散としていて、
船が発着しているだけの場所だと
思っていたんだけどね。
ここが港かぁ。
活気があるなぁ。
アンカーポートという
小さな町と
なっているようですね。
港の機能だけだった場所が
発展したようです。
ふーん、そうなんだ。
クロード、
さすが詳しいね?
さっき見かけた看板に
書いてありましたっ♪
そ、そうだったんだ……。
私が乗せてくれる船を
探してきましょう。
僕も行くよ。
それなら私もっ!
じゃ、サララと
ライカさんには宿探しを
お願いできますか?
分かりました。
お任せください。
ロンメルは
ふたりを守ってあげて。
御意。
エルムは僕たちと行こう。
はいっ!
役割分担をした僕たちは、
それぞれ街の中を進んでいった。
僕はクロードと一緒に商人ギルドへ向かう。
副都へ行く船が見つかるといいなぁ。
次回へ続く!