地底都市アンカーを出発した僕たちは、
外へと続く道を歩いていた。
つまり一度通った道を
引き返す形になるわけだ。

ここでは相変わらず
商人や荷物を運ぶ人の姿が多く見られる。
 
 

トーヤ

次の目的地は副都かぁ。
カレンの故郷なんだよね?

カレン

まぁね。家を出て以来、
初めて戻ることに
なるわね。
でも家には寄らない。
誰とも会いたくないから。

トーヤ

……そうなんだ。

 
 
カレンの家庭には
複雑な事情があるみたいだからなぁ。
これ以上は聞けない。

でもきっとカレンなら
いつか自分から話してくれると思う。
 
 

ライカ

ここから副都まで、
かなり距離が
離れてますよね。
ルートはどうしましょう?

トーヤ

あっ、そうですよね。
移動に時間も
かかりますしね。

クロード

トーヤ、
何か忘れてませんか?

トーヤ

えっ?

クロード

アンカーを出た場所に
便利なものが
あるじゃないですか。

トーヤ

何かあったっけ?

 
 
便利なものって何だろう?
ノースエンドまで戻って陸走船にでも
乗ろうってことなのかな?

でもあそこまで戻ると遠回りになっちゃう。

だからここから直接、
副都へ向かって歩いていった方が
早そうな気がするけど……。


僕が考え込んでいると、
不意にサララがパチンと手を叩いて
合点がいったような顔をする。
 
 

サララ

分かりましたぁ!
船ですね?
確かアンカーの近くに
港があるって
言ってましたもんね?

クロード

サララ様、大正解ですっ!

トーヤ

そっか!
掘り出したミスリルは
船を使って世界中に
運ばれてるんだもんね!

クロード

はい、副都へ行く船も
きっとありますよ。
副都は海に
面していますので。

エルム

海ですかぁ……。
僕、海を見たことが
ないですし、
船に乗るのが楽しみです。

ロンメル

ふむ、船旅か。
退屈でつまらん。

カレン

海に落として
あげましょうか?
ヴァンパイアって
流水が苦手なのよね?
溺れちゃいなさいよ。

 
 
カレンはこの上なくニコニコしている。
逆にそれが怖いんだけど。
隙あらばロンメルを倒そうとするよね……。


この敵対意識はクロードに対してのものとは
比べものにならないくらいに強い。

僕としては仲良くしてほしいんだけどな。
 
 

ロンメル

残念ながら
俺には流水など無意味。
下っ端のヴァンパイアと
一緒にするな。

カレン

真祖のヴァンパイアって
意外にすごいのね。

ロンメル

『意外に』は余計だ、
無礼者。
主によって
禁じられていなければ、
干からびるまで血を吸って
殺してやるものを。

ロンメル

舌がツンツン刺されるような
刺激があって、
不味そうだがな。

 
 
 

 
 
 

カレン

私も吸わせる気なんて
ありませんし。
――っていうか、
そんな気配を見せたら
八つ裂きにしてやるわよ!

トーヤ

ケンカしないでよぉ……。

クロード

トーヤも苦労の種が
尽きませんね。

ライカ

クロードさんったら。
トーヤさんだって、
クロードさんにだけには
言われたくないと
思ってますよ。

トーヤ

…………。

 
 
旅は賑やかになったけど、
本当に頭が痛いなぁ。

みんな仲良くしてくれるのが
一番いいんだけど。
でもどうしても気が合わないって相手も
いるもんだしなぁ……。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
それから数日後、僕たちは港へ到着した。
辺りには潮の香りが漂い、
桟橋にはたくさんの船が停泊している。

そして周りにはたくさんの商店や家が集まり、
メインストリート沿いに市場も出ていた。


もっと閑散としていて、
船が発着しているだけの場所だと
思っていたんだけどね。
 
 

トーヤ

ここが港かぁ。
活気があるなぁ。

クロード

アンカーポートという
小さな町と
なっているようですね。
港の機能だけだった場所が
発展したようです。

トーヤ

ふーん、そうなんだ。
クロード、
さすが詳しいね?

クロード

さっき見かけた看板に
書いてありましたっ♪

トーヤ

そ、そうだったんだ……。

クロード

私が乗せてくれる船を
探してきましょう。

トーヤ

僕も行くよ。

カレン

それなら私もっ!

トーヤ

じゃ、サララと
ライカさんには宿探しを
お願いできますか?

ライカ

分かりました。

サララ

お任せください。

トーヤ

ロンメルは
ふたりを守ってあげて。

ロンメル

御意。

トーヤ

エルムは僕たちと行こう。

エルム

はいっ!

 
 
役割分担をした僕たちは、
それぞれ街の中を進んでいった。
僕はクロードと一緒に商人ギルドへ向かう。


副都へ行く船が見つかるといいなぁ。
 
 

 
 
 
次回へ続く!
 

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