俺は黙々と部屋を片付けた後、小斗を部屋に入れた。小斗は部屋を見渡して、いつも通りに話した。

小斗雪音

淳くんはあまり片付けしないの?

鮫野木淳

あの、もう勘弁して下さい

小斗雪音

別に怒ってないよ。ただ、注意しただけ

鮫野木淳

そうですか


 鮫野木は気が休まないまま、机にカバンを置いて、ノートパソコンを広げ電源を入れた。

小斗雪音

何してるの?

鮫野木淳

確認だよ。スマホが駄目でもこいつなら、インターネットに繋がるはずだ。そしたらいろいろとわかるだろ

小斗雪音

なるほど

鮫野木淳

そういえば、ユキちゃんはカバンどうしたの? 学校に置き忘れたとか


 俺は小斗ちゃんがカバンを持ってないことに気づいて質問をした。

小斗雪音

そんなわけないでしょ、お姉ちゃんの所に置いてきたよ。淳くん達みたいに学校の帰りに廃墟に行きませんから

鮫野木淳

で、ですよね……


 俺はノートパソコンを起動した画面を見る。パスワードを入力して下さいと表示されていたので、パスワードを打った。

鮫野木淳

さてと、どうかな


 俺は早速、インターネットを立ち上げた。……がしかし。

鮫野木淳

ここも駄目なのか

 俺は思わず机を叩いた。
 スマホもパソコンも駄目なんて事あるか! どうやら情弱になる呪いにかかったらしい。

 俺はゆっくりノートパソコンを閉じた。
 ふっと、俺は六十部紗良の事を思い出した。

鮫野木淳

なぁ、ユキちゃん。俺達、どこに居るんだろうな?

小斗雪音

過去じゃなさそうだけど

鮫野木淳

ああ、過去じゃない。それはわかった。ところでさ、ユキちゃんに出会う前に女の人と合ってさ。その人に、あなたは、この世界の住人? とか、あなたもこの世界に来てしまったとか言われたんだ

小斗雪音

この世界?

鮫野木淳

そうなんだ、あの人は何故か、この世界って言葉を使った。ここの街をわざわざ、世界なんて言うか?

小斗雪音

言わないと思うけど、あの人って誰?


 そう、この世界……世界、どうもこの言葉が引っかかる。俺が住む街は大きくもないし小さくもない。都会とも言えない小規模な街だ。それを世界なんて言うかのか。

鮫野木淳

えーと、六十部紗良って知ってる? 同じ学校の制服を着てて、黒のロングヘア。同い年ぐらいに見えたけど


 小斗は首をかしげている。

小斗雪音

うーん? ……知らないな

鮫野木淳

そうか、最初は電波なのかなと思ったが、もしかしたらあの人に聞けば何かわかるかもしれない

小斗雪音

その六十部さんはどこに居るの?

鮫野木淳

それが忙しいとかで、どっかに行ったけど。明日、K・S記念病院に十時に来れば用を聞いてくれるらしい

小斗雪音

へぇーそんなんだ。ところで淳くんって、私以外の女の人と話せるんだ


 小斗はまるで人をあざ笑うような顔をしている。違うあざ笑っているな。

鮫野木淳

たく、三次元より二次元だが、話さないとは行ってないぜ

小斗雪音

そうだっけ

鮫野木淳

ユキちゃん

 用が済んだ俺は家を出て公園に戻ることにした。
 謝らないといけないし、伝えたいこともあり、なるべく早くむかった。公園に着くと藤松と凪佐の姿がない、居なくなってる。

鮫野木淳

おーい、藤松、凪佐。どこだ?


 返事は帰ってこない。公園はとても静かだ。

鮫野木淳

どこか行ったのか?

小斗雪音

そんなはずないよ。だって、待ってるって言ってたし


 俺は大声で叫んだ。

鮫野木淳

悪かったよ。謝るから出てこいよ、ドッキリなんてよそうぜ!

 近くに居る鳥の鳴き声が聞こえるだけで、返事は帰ってこなかった。公園は鮫野木と小斗しかいない。

小斗雪音

淳くん、あれ

 小斗が指さしたところに二つ、カバンが無造作に転がっていた。まるで、放り投げたかのように、放置されている。

鮫野木淳

何でこんな所に?

 俺は二人のカバンを拾った。確認をすると、藤松のと凪佐のだ。どうしてこんな所に?

鮫野木淳

ユキちゃん。近くに居ないか探そう

小斗雪音

うん、わかった

鮫野木淳

そうだな、あの時計が六時半になったら、一端ここに集合な


 俺は公園にあった時計塔を見て、集合時間を決めた。

小斗雪音

うん、私はあっちを見てくるよ

鮫野木淳

ああ、俺はこっちの方を見てくる


 俺と小斗は時間いっぱいまで、藤松と凪佐を探した。しかし、最後まで見つからず公園に戻っていた。日は落ち始め暗くなり始めた。

小斗雪音

いた?

鮫野木淳

こっちもいねぇ。たく何処に行ったんだ


 俺は疲れて近くのベンチに座った。俺は頭を抱え遠くを見る。すると、人影らしき物が道路を挟んだ曲がり角を曲がるのが見えた。

鮫野木淳

藤松、凪佐!

小斗雪音

淳くん!


 俺は公園から走って曲がり角まで行った。

鮫野木淳

ハァハァ


 俺は息を整えず、曲がり角を曲がった。そこには……。

鮫野木淳

……なっ、何だよ……何なんだよ

アンノン

……


 そこに居たのは藤松、凪佐ではない。人……でもない、人の形をした何かが居た……。それは人の形をした化け物は俺に気付き振り向いた。

エピソード7 裏の世界(3)

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