俺は黙々と部屋を片付けた後、小斗を部屋に入れた。小斗は部屋を見渡して、いつも通りに話した。
俺は黙々と部屋を片付けた後、小斗を部屋に入れた。小斗は部屋を見渡して、いつも通りに話した。
淳くんはあまり片付けしないの?
あの、もう勘弁して下さい
別に怒ってないよ。ただ、注意しただけ
そうですか
鮫野木は気が休まないまま、机にカバンを置いて、ノートパソコンを広げ電源を入れた。
何してるの?
確認だよ。スマホが駄目でもこいつなら、インターネットに繋がるはずだ。そしたらいろいろとわかるだろ
なるほど
そういえば、ユキちゃんはカバンどうしたの? 学校に置き忘れたとか
俺は小斗ちゃんがカバンを持ってないことに気づいて質問をした。
そんなわけないでしょ、お姉ちゃんの所に置いてきたよ。淳くん達みたいに学校の帰りに廃墟に行きませんから
で、ですよね……
俺はノートパソコンを起動した画面を見る。パスワードを入力して下さいと表示されていたので、パスワードを打った。
さてと、どうかな
俺は早速、インターネットを立ち上げた。……がしかし。
ここも駄目なのか
俺は思わず机を叩いた。
スマホもパソコンも駄目なんて事あるか! どうやら情弱になる呪いにかかったらしい。
俺はゆっくりノートパソコンを閉じた。
ふっと、俺は六十部紗良の事を思い出した。
なぁ、ユキちゃん。俺達、どこに居るんだろうな?
過去じゃなさそうだけど
ああ、過去じゃない。それはわかった。ところでさ、ユキちゃんに出会う前に女の人と合ってさ。その人に、あなたは、この世界の住人? とか、あなたもこの世界に来てしまったとか言われたんだ
この世界?
そうなんだ、あの人は何故か、この世界って言葉を使った。ここの街をわざわざ、世界なんて言うか?
言わないと思うけど、あの人って誰?
そう、この世界……世界、どうもこの言葉が引っかかる。俺が住む街は大きくもないし小さくもない。都会とも言えない小規模な街だ。それを世界なんて言うかのか。
えーと、六十部紗良って知ってる? 同じ学校の制服を着てて、黒のロングヘア。同い年ぐらいに見えたけど
小斗は首をかしげている。
うーん? ……知らないな
そうか、最初は電波なのかなと思ったが、もしかしたらあの人に聞けば何かわかるかもしれない
その六十部さんはどこに居るの?
それが忙しいとかで、どっかに行ったけど。明日、K・S記念病院に十時に来れば用を聞いてくれるらしい
へぇーそんなんだ。ところで淳くんって、私以外の女の人と話せるんだ
小斗はまるで人をあざ笑うような顔をしている。違うあざ笑っているな。
たく、三次元より二次元だが、話さないとは行ってないぜ
そうだっけ
ユキちゃん
用が済んだ俺は家を出て公園に戻ることにした。
謝らないといけないし、伝えたいこともあり、なるべく早くむかった。公園に着くと藤松と凪佐の姿がない、居なくなってる。
おーい、藤松、凪佐。どこだ?
返事は帰ってこない。公園はとても静かだ。
どこか行ったのか?
そんなはずないよ。だって、待ってるって言ってたし
俺は大声で叫んだ。
悪かったよ。謝るから出てこいよ、ドッキリなんてよそうぜ!
近くに居る鳥の鳴き声が聞こえるだけで、返事は帰ってこなかった。公園は鮫野木と小斗しかいない。
淳くん、あれ
小斗が指さしたところに二つ、カバンが無造作に転がっていた。まるで、放り投げたかのように、放置されている。
何でこんな所に?
俺は二人のカバンを拾った。確認をすると、藤松のと凪佐のだ。どうしてこんな所に?
ユキちゃん。近くに居ないか探そう
うん、わかった
そうだな、あの時計が六時半になったら、一端ここに集合な
俺は公園にあった時計塔を見て、集合時間を決めた。
うん、私はあっちを見てくるよ
ああ、俺はこっちの方を見てくる
俺と小斗は時間いっぱいまで、藤松と凪佐を探した。しかし、最後まで見つからず公園に戻っていた。日は落ち始め暗くなり始めた。
いた?
こっちもいねぇ。たく何処に行ったんだ
俺は疲れて近くのベンチに座った。俺は頭を抱え遠くを見る。すると、人影らしき物が道路を挟んだ曲がり角を曲がるのが見えた。
藤松、凪佐!
淳くん!
俺は公園から走って曲がり角まで行った。
ハァハァ
俺は息を整えず、曲がり角を曲がった。そこには……。
……なっ、何だよ……何なんだよ
……
そこに居たのは藤松、凪佐ではない。人……でもない、人の形をした何かが居た……。それは人の形をした化け物は俺に気付き振り向いた。