ルームフェルから逃げられたサトミはしょんもりしながらも、現在の進行状況を伺った。
サトミが貫徹で夜明けと同時に龍脈による結界は張り終えた。
すでに昨日のうちから町全体に避難勧告は出してあり、本日の朝から迎え入れるということになっていた。
もう何人かの町人達は避難を始めており、さきほど飛騨がひっくり返したお椀を片付けていた人達は避難してきていた町人だった。
だが、まだ朝とあって避難は五分の一しか進んでいない。
これから順次、避難が困難な者達に声を掛けて手伝っていくと言う。
当然、レインフォードも手伝いたいところだが、何分、彼らの言語が理解できないため、手伝えることは少ない。
近藤はそれでも良い。むしろ、十分だと言ってくれた。
食糧の備蓄は申し訳ないが、町人の善意でいただくことになった。
八百屋から無償で貰ってしまうと、吸血鬼が退治された後に彼らの商売が赤字になってしまうからだ。