吸血鬼の気配を感知したルームフェルは走り出した。
そこに居ろと言われたわけだが、当然、黙っていられるわけがなくて追いかけた……が、予想以上にルームフェルの動きが早く、どんどん離されていく。
鍛えている方だとは思っていたが、どうしても全然追いつかない。
ようやく減速したかと思うと彼は立ち止まって陰に隠れる。
地理的に、場所は宿屋の近くだ。
ルームフェルが覗き込んでいる先に女の人影。
綺麗な金髪に、この国の女性が着ている和服。
目で見て、この土地の人間ではないのが分かる。あたりをきょろきょろ見回しながら、歩いているようだった。
それに感じる……――人間ならざる者の、気配。
レインフォードは魔力の感知は苦手だが、分かる。
異様な存在が、そこにいる。
自分達とは絶対的に、存在そのものが違う『何か』……――気のせいだろうか。