緊急会議を開くということで、今晩予定されていた花見の件はなくなってしまったが、部屋に運び込まれた食事は実に美味だった。箸という異国の食べる道具が使いにくいので悪戦苦闘したが。
これで目の前にサトミが居なければ、個人的にはもっと楽しめただろうと思う。
味噌汁が懐かしいだの、刺身なんて久しぶりだの、舌鼓打つ彼女はさきほどの悪魔のごとき所業が嘘のようだった。
皮を被っているとはまさにこのことだ。これが十七の女だと思うと恐れ入る。これは嫁の貰い手などなさそうだ。
しかし、近藤の代わりに飛騨が同席していたことに心なしか安堵する。一応、粗相のないように相手をするよう言われたらしいが、飛騨は最初会った時よりも態度が少し柔らかさを増したように思えた。
明らかに意識しているせいだ……――サトミを。