公園に二人の男子の姿があった。その一人、藤松紅はブランコで目を閉じて黙っていた。彼は今、考え事をしている。

凪佐新吾

今はこう亀裂が入ってるけど、元に戻るよね。僕と鮫野木くん、藤松くんに小斗ちゃんと一緒に居る時みたいに

藤松紅

……


 凪佐は藤松に話しかけようとしたが、空気を読んで声をかけなかった。

凪佐新吾

今は集中してるな

凪佐新吾

こんな事、今までなかったのに……

その様子を見ている、凪佐新吾はあることを思い出していた。

凪佐新吾

そういえば、もう一年経つのか

 僕が、この学校に転校したのは去年の五月ぐらいになる。あれからもう一年が経った。本当、最初の頃は緊張した、不安もあったな――

鬼灯先生

おーい、聞け。今日はうちのクラスに転校生が来たので紹介するぞ

鬼灯先生

さて、入ってこい

 鬼灯先生に呼ばれて、僕は騒がしい教室に入る。

 視線が凪佐に集中する。流石に緊張する。

凪佐新吾

は、初めまして、凪佐新吾です

女子

カワイイ

女子

女の子みたい

凪佐新吾

……

凪佐新吾

友達できるかな、みんなは優しそうだけど

鬼灯先生

お前らの気持ちは十分わかったから、黙れ

 自己紹介が終わると、僕は用意された席に座った。
 その後は授業の終わるたびに質問攻めだった。みんなフレンドリーに接してきてくれる。けど、このクラスには僕と同じ趣味を持つ人はいないそうだ。
 何度か目の昼休みに質問されていたとき、遠くから声が聞こえた。

鮫野木淳

それでさ、マジ神アニメなんだぜ

小斗雪音

はいはい、神ですね

凪佐新吾

……!?

 僕は慌てて、聞き耳をたてた。

鮫野木淳

今期のアニメのダークホース、無双ガールズはな……

藤松紅

あのアニメか、確か監督が……

 僕も知っているアニメの話をしている。けれど、ここからじゃ、良く聞こえない。僕はどうしてもアニメについて話したかった。
 だから勇気を出してアニメの話をしている。三人に話しかけた。

凪佐新吾

僕も、無双ガールズ好きだよ……

鮫野木淳

おお、転校生。わかるか! それで、転校生無双ガールズの何処が好き?

凪佐新吾

……えっ、えーと。レッカの変身後の衣装が好きだよ

鮫野木淳

そうか! 良いよなレッカたんのゴスロリ。後、ツンデレがたまらんよな転校生

凪佐新吾

う、うん

 鮫野木の勢いに流石に少し引きそうだった。

小斗雪音

もう、転校生じゃなくて凪佐新吾くんでしょ。ごめんね

小斗雪音

私は小斗雪音、こっちの失礼なのは鮫野木淳くん

鮫野木淳

失礼とは何だ。まぁよろしく

藤松紅

鮫野木はこんな奴だが、よろしくな。俺は藤松紅

鮫野木淳

お前ら酷くない

 あっ、この感じ好きだ。前の学校の友達と雰囲気が似ている。あの時もこんな感じに集まって喋っていたな。

凪佐新吾

ふふっ、よろしく

鮫野木淳

おう! よろしくな

 この日を境にみんなと仲良くなった。コスプレの事も三人にしか話していない。

藤松紅

……おーい、凪佐。聞こえているか?

凪佐新吾

あっ、ごめん。何?

藤松紅

ああ、立ってないで座ったらどうだ? 疲れてないか?

凪佐新吾

うん、そうする

 凪佐は近くのベンチに座った。

藤松紅

なぁ。凪佐、あの時、止めてくれてありがとな

凪佐新吾

…………

藤松紅

お前が途中で止めなかったら、俺、鮫野木の事、殴ってたかもしれない……

藤松紅

それで、お願いなんだが、アイツが帰ってきたとき……その、一緒に謝ってくれないか?

 藤松は恥ずかしそうに頼んだ。

凪佐新吾

うん、一緒に謝ろう

 僕は嬉しかった。また、みんなと仲良く普段通り学校に通いたいたいな。そして、みんなとコスプレしたいな。
 凪佐は公園を眺める。

エピソード5.5 転校から出会い

facebook twitter
pagetop