目の前に建っているのは、廃墟ではない。俺が入ったのは廃墟だった。そのはずだった。
目の前に建っているのは、廃墟ではない。俺が入ったのは廃墟だった。そのはずだった。
……家だ
何いってるんですか? バカなんですか?
バ、バカちゃうわい
あっ、そうですか
態度が悪い。女の子は鮫野木を通り向け、廃墟だった建物に入ろうとした。
ちょと待て、ボクっ娘。その家は、お前の家なのか?
そうですけど、何ですか? 余りしつこいなら警察呼びますよ
……警察
それと、僕のこと、ボクっ娘って呼ばないで下さい。野沢心(ノザワココロ)と言う名前があるんです
……野沢心
用がないなら、帰って下さい
そう言い残すと、野沢は扉を開けて家に入った。
ちょと
あー訳わかんね
鮫野木は頭をかきながら、丘を下り始めた。鮫野木の後を追って、 丘を下りる。
鮫野木達は近くにあった公園に集まっていた。全員で今起こっている事を整理し始めた。
みんな落ち着いてる?
俺は少しは落ち着いたさ、しかし、俺達が廃墟に入って十分も経っていないはずだ。だがこれはどういう事だ?
もしかして……タイムスリップ? したとか?
そんな、そんな事あり得るんてすか?
僕も考えたく無かったよ。でも、それぐらいしか……思い浮かばなくて
凪佐は自信なさげに話した。
もしかしたら、あり得るかもな
フフっ、ハハッ
鮫野木は気味悪く笑った。
おい、笑ってる場合じゃないぜ
……良く、お前ら冷静でいられるよな
おい! 何だその言い方は
うるさいな……
鮫野木は覇気がなかった。それに苛立ち、藤松は鮫野木に近づいた。
何だよ。そもそも、お前が廃墟に行くなんて言わなきゃ、こんな事にならなかったのにな、ハハッ
てめぇ、それを今言うか?
……悪いかよ
止めてよ。今は喧嘩は良くないよ
……そんだな
鮫野木は歩き出した。
帰る……
おい、鮫野木!
……
鮫野木を追いかけようとした藤松を小斗が呼び止める。
藤松君、淳君は私がどうにかします。だから……
……わかった。それと時間をくれ、一時間ぐらい、ゆっくり考えたい
わかった
僕もここに居るから、行ってやって
うん、止めてくれてありがとう
小斗は鮫野木を追いかけていった。公園には藤松と凪佐が残っている。
藤松は公園のブランコに座り考え込んだ。
……
たく何なんだよ。どうしてみんな冷静でいられるんだよ。何で廃墟が家になってるんだ? 廃墟には十分ぐらいしか入っていないのに日が昇っているんだ?
タイムスリップ? アニメじゃないぜ。
あなた、ちょと良い?
考え事をしながら歩いていたら。長い黒髪をキレイに整えた。同い年ぐらいの美少女が話しかけてきた。
あっはい
突然、話しかけられた事と彼女があまりにも美しさに声が裏返った。
この俺が三次元の女にときめきそうだと!
あなたは、この世界の住人?
!? この世界の住民?
それはどういう意味ですかな? アハハ
違うのらな良いの、あなたもこの世界に来てしまったのね
美人かと思えば電波でしたか
彼女は悲しそうにしているが、俺はどうして良いのか、わからないでいた。
俺はどうしたら良い?