俺を呼びかける声が聞こえる。心配そうだな、俺を心配してくれる人なんて居たか?
俺を呼びかける声が聞こえる。心配そうだな、俺を心配してくれる人なんて居たか?
淳くん! 淳くん、鮫野木くん!
……ユキちゃん
鮫野木は目を覚ました。まだ少し頭が痛い。目の前には小斗雪音が泣きそうになっていた。
おいおい、ユキちゃん。泣き虫だな
淳君。私、怒るよ
ごめん。手を貸してくれ、力が入らない
しょうがないな
小斗は鮫野木に手を貸して、状態を起こした。
藤松と凪佐は?
鮫野木が周囲りを見渡すと二人が倒れているのが、わかる。
おい、大丈夫か? 藤松、凪佐
大丈夫?
鮫野木と小斗は二人に声をかける。すると、二人の意識が目覚めた。
う、うーん。寝ていたのか俺
鮫野木くん、それに小斗ちゃん?
起きたか、良かった
もう、みんな心配したよ
そうだ、何でユキちゃんがここに居るんだ? ここ廃墟だぜ
何が廃墟よ。お姉ちゃんから聞いたの
そうか、ミミタンが聞いてたのか
えっ、ミミタンさんって小斗ちゃんのお姉さんなの?
そう言えば、行って無かったな
ミミタン、小斗美見(オトミミ)は私の姉だよ
そうなんだ……
何を言おう、カフェ止まり木てで働いているミミタン、小斗美見は小斗雪音の実の姉である。
そんなことより、お姉ちゃんに聞かなきゃ、ずっと倒れたままだったんだから
そう言えばユキちゃんは頭痛くならなかった?
俺は倒れる前の状況を尋ねた。
あっ、私も突然、痛くなったけど、ずぐに治まったよ
そうか、たっく何が起こったんだ?
そんな事より、もうここから出るよ。本来は居ちゃいけないんだからね
ああ、何だかやな感じだし帰りたい
だね、もう出ようよ
そうが良いぜ
ともともは入る気なんて無かったし、ちょうど良い
4人は階段を下りた。鮫野木は扉の前で立ち止まった。
まさか、開かないとか無いよな
鮫野木はドアノブに手を伸ばした。力強く握り回す。ドアノブは回りドアは普通に開いた。
流石にフリーホラーゲームのやり過ぎか
鮫野木達は外に出た。しかし……。
どうゆう事だ。俺達が廃墟に入ったのは夕方のはずだぞ!?
これどうなってるの?
朝になってやがる!
鮫野木君……これって
廃墟から出て、目に映る風景に驚きを隠せないでいた。俺が廃墟に入ったのは夕方だ。気絶していたとはいえ、流石に時間が経ちすぎている。
おいおい、地球さんよ、逆回転でもしたか? ぶざけんなよ
鮫野木はポケットからスマホを取り出した。画面を確認したら圏外になっていた。ネットを開くとページが表示されない。
お約束ってか……
ポケットにスマホを戻す。
鮫野木のも圏外になってるのか
ああ、ネットにも繋がらない
本当だ。電波届いてないね
藤松と凪佐もスマホを操作しているが、状況は俺と同じらしい。
ねぇ、みんな誰かこっちに来るよ
小斗に言われて、森の方を見ると、こちらに近づいてくる女の子の姿が見えた。
女の子の方もこちらに気づき走って近づいた。
君達は僕の家の前で何やってるの?
家? 嫌、ここは
不機嫌な女の子に指摘されて、後ろを振り返った。
……どうなってるんだ
……?
振り向いた先……さっきまで居た場所。そこは廃墟の影は無く、立派な一軒家が建っていた。