俺を呼びかける声が聞こえる。心配そうだな、俺を心配してくれる人なんて居たか?

小斗雪音

淳くん! 淳くん、鮫野木くん!

鮫野木淳

……ユキちゃん


 鮫野木は目を覚ました。まだ少し頭が痛い。目の前には小斗雪音が泣きそうになっていた。

鮫野木淳

おいおい、ユキちゃん。泣き虫だな

小斗雪音

淳君。私、怒るよ

鮫野木淳

ごめん。手を貸してくれ、力が入らない

小斗雪音

しょうがないな


 小斗は鮫野木に手を貸して、状態を起こした。

鮫野木淳

藤松と凪佐は?

 鮫野木が周囲りを見渡すと二人が倒れているのが、わかる。

鮫野木淳

おい、大丈夫か? 藤松、凪佐

小斗雪音

大丈夫?


 鮫野木と小斗は二人に声をかける。すると、二人の意識が目覚めた。

藤松紅

う、うーん。寝ていたのか俺

凪佐新吾

鮫野木くん、それに小斗ちゃん?

鮫野木淳

起きたか、良かった

小斗雪音

もう、みんな心配したよ

鮫野木淳

そうだ、何でユキちゃんがここに居るんだ? ここ廃墟だぜ

小斗雪音

何が廃墟よ。お姉ちゃんから聞いたの

鮫野木淳

そうか、ミミタンが聞いてたのか

凪佐新吾

えっ、ミミタンさんって小斗ちゃんのお姉さんなの?

鮫野木淳

そう言えば、行って無かったな

小斗雪音

ミミタン、小斗美見(オトミミ)は私の姉だよ

凪佐新吾

そうなんだ……


 何を言おう、カフェ止まり木てで働いているミミタン、小斗美見は小斗雪音の実の姉である。

小斗雪音

そんなことより、お姉ちゃんに聞かなきゃ、ずっと倒れたままだったんだから

鮫野木淳

そう言えばユキちゃんは頭痛くならなかった?

 俺は倒れる前の状況を尋ねた。

小斗雪音

あっ、私も突然、痛くなったけど、ずぐに治まったよ

鮫野木淳

そうか、たっく何が起こったんだ?

小斗雪音

そんな事より、もうここから出るよ。本来は居ちゃいけないんだからね

鮫野木淳

ああ、何だかやな感じだし帰りたい

凪佐新吾

だね、もう出ようよ

藤松紅

そうが良いぜ

鮫野木淳

ともともは入る気なんて無かったし、ちょうど良い

 4人は階段を下りた。鮫野木は扉の前で立ち止まった。

鮫野木淳

まさか、開かないとか無いよな

 鮫野木はドアノブに手を伸ばした。力強く握り回す。ドアノブは回りドアは普通に開いた。

鮫野木淳

流石にフリーホラーゲームのやり過ぎか

 鮫野木達は外に出た。しかし……。

鮫野木淳

どうゆう事だ。俺達が廃墟に入ったのは夕方のはずだぞ!?

小斗雪音

これどうなってるの?

藤松紅

朝になってやがる!

凪佐新吾

鮫野木君……これって

 廃墟から出て、目に映る風景に驚きを隠せないでいた。俺が廃墟に入ったのは夕方だ。気絶していたとはいえ、流石に時間が経ちすぎている。

鮫野木淳

おいおい、地球さんよ、逆回転でもしたか? ぶざけんなよ


 鮫野木はポケットからスマホを取り出した。画面を確認したら圏外になっていた。ネットを開くとページが表示されない。

鮫野木淳

お約束ってか……


 ポケットにスマホを戻す。

藤松紅

鮫野木のも圏外になってるのか

鮫野木淳

ああ、ネットにも繋がらない

凪佐新吾

本当だ。電波届いてないね

 藤松と凪佐もスマホを操作しているが、状況は俺と同じらしい。

小斗雪音

ねぇ、みんな誰かこっちに来るよ


 小斗に言われて、森の方を見ると、こちらに近づいてくる女の子の姿が見えた。
 女の子の方もこちらに気づき走って近づいた。

野沢心

君達は僕の家の前で何やってるの?

鮫野木淳

家? 嫌、ここは


 不機嫌な女の子に指摘されて、後ろを振り返った。

鮫野木淳

……どうなってるんだ

野沢心

……?

 振り向いた先……さっきまで居た場所。そこは廃墟の影は無く、立派な一軒家が建っていた。

エピソード4 廃墟の中は······。(4)

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