段々と日が落ち始めていた、カフェ止まり木から廃墟まだはそこまで離れていない。数分もしないうちに廃墟がある丘にたどり着いた。

 住宅地に取り残されるように丘がある。丘の周りは全くと言って人気が無く、丘は木々が無造作に生えていて、もはや森だった。頂上を見ると薄っらと廃墟が見える。

 入り口を探していると、ある一角にチェーンで道を塞いでいた。元々ここが入り口だったらしい。鮫野木達はそれを無視して、木にか困れた坂道を登っていた。

藤松紅

もう少ししたら、廃墟が見えるぞ

鮫野木淳

ハァ、もう着いてしまうのか、流石に覚悟しないとなあ

 ゆるい坂を登りきると、廃墟全体が良く見える。廃墟は二階建てで、窓ガラスは所々割れていた。

凪佐新吾

どうしてこんな所に家なんか建てたんだろうね

藤松紅

俺が父さんに聞いた話だと、元々はある家族の普通の家だった。だが······

凪佐新吾

藤松くん?

藤松紅

······

凪佐新吾

もしかして、殺人とか?


 藤松が口を閉ざしている様子を見て、流石に凪佐も気づいたらしい。

藤松紅

そうだ、ここに住んでいた家族の両親が殺されたらしい······子供が一人生き残って発見されたらしいぜ

凪佐新吾

やっぱり、止めない。ここに入るの

鮫野木淳

凪佐。俺もその意見に賛成だぜ

藤松紅

何を今更、引き下がれるかよ。なぁ鮫野木!

鮫野木淳

おう、凪佐一人で待ってても、別に良いんだぜ

凪佐新吾

一人はやだよ


 この時の俺は自分を偽っていた。無駄なプライドを守っていた。

鮫野木淳

大丈夫、何も出ない。さっさと見てさっさと帰ろう。そうしよう


 廃墟の入り口まで来た。扉が少し開いていた。閉まってはいないそうだ。

藤松紅

開けるぞ

 夕暮れのせいか、この場所は肌寒く感じる。鮫野木は後悔していた。

鮫野木淳

廃墟に行かない······そんな事を考えた時期が俺にもありました

 今······俺は廃墟の中に居る。

藤松紅

やっぱり、雰囲気があるよな

鮫野木淳

そうだな

 廊下は薄暗く、真っ直ぐ扉まで続いている。右側には二階に続く階段があるのがわかった。

鮫野木淳

中は本当に暗いな。あそこから二階に行けるのか

藤松紅

この先はリビングか?

 扉を開けると藤松が言った通り、リビングだった。今だに家具やらテーブルが、そのまま残ってある。

凪佐新吾

まるで、人が住んでいるようだ

鮫野木淳

それが、廃墟だからな······

藤松紅

すげーな、廃墟って

 鮫野木が廃墟に見とれていると、女性の声が突然、聞こえた。

女子

二階に来て

鮫野木淳

······二階に行かなきゃ

 鮫野木は二人を置いて、二階に向かった。まるで、誰かに操られているように。

凪佐新吾

鮫野木くん?

藤松紅

何処に行くんだ、オイ

 鮫野木は女性の声に導かれて、二階にいた。

女子

あの部屋に入って

鮫野木淳

······わかった

 鮫野木は部屋に入る、寝室のようだ。ベッドにホコリが積もっている。

女子

ベッドの下を調べて

 鮫野木はベッドの下調べ始めた。すると、一枚の紙切れを見つけた。

鮫野木淳

何だこれ? ここは何処だ?

 気が付くとリビングから意識が飛んでいた事に気づいた。俺はいつの間にか、体が勝手に動いたのか? そんな事を考えていたら、藤松と凪佐が部屋に入ってきた。

藤松紅

探したぞ、いきなり何処に行くんだ?

鮫野木淳

いや、その、俺にもわからない

凪佐新吾

鮫野木くん、それは何?

 凪佐は鮫野木が持っていた紙切れを指で指した。

鮫野木淳

これか、ん? 何か書いてある

 紙切れには(この世界は偽りに包まれている)と書かれていた。

鮫野木淳

どういう意味だこれ?

 耳鳴りがした後、三人に頭痛が襲う。あまりにも痛すぎて頭を押さえる。

鮫野木淳

なっ、何だよ。これ?

藤松紅

頭が······いてぇ

凪佐新吾

頭が割れる

 三人の意識が途切れた。三人はその場に倒れ込む。

人があれほど、行くなと言ったのにな

子供の好奇心を分かっていない、学校のせいですよ。先輩

 廃墟の前に二人の大人の姿があった。白衣を着ている女性は頭を抱え、もう一人の白髪の男性は片手をアゴに添えていた。

エピソード3 廃墟の中は······。(3)

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