光術の系統について学んだ敬介。

大宮と系統が一致していることもあり、

ペアを組まされることになるが腑に落ちないでいた。

系統については分かったけど、
コイツと組まなきゃいけないのがムカつく。

ぶつぶつと文句を言いながら、

同じように苛立っている大宮をチラッと見た。

それはこっちのセリフだ……。

大宮は敬介とは目を合わせないようにしながら呟き、

その様子を矢島と美咲は苦笑いしばがら眺めていた。

そもそも、
なんでいきなりこいつが俺達と一緒に行動するんだよ。

まぁまぁ、落ち着いて。
敵の実態が掴めていないのもあるし、
まだ経験の浅い敬介君や美咲ちゃんと僕だけでは大変だから、
光術士の名家である大宮家の剛君にも参加してもらうことになったんだよ。

名家ってすごい!!

お坊ちゃまってことね。

黙れ。
嫌なら俺は帰るぜ。

矢島が抑えようとするも、

敬介と大宮の不仲さは増していき、

話が前進しなくなってしまう。

おいおい、
お前らいい加減にしろ。
敬介、偉そうにしてるがお前はまだペーペーだからな。

なっ!!

剛、お前の目的の為にも避けられない戦いだが帰るのか?

ちっ、わかったよ。

カラウはそれぞれに言葉をかけると、

いったん二人は落ち着いた。

とはいえ、

敬介はがっくりと肩を落とし、

先ほどまでの勢いはなくなった。

あれ?
でも、どうして形山君と大宮君が幻重に攻撃をしてたのに効果がなかったのかな?

同じく戦闘に参加していた美咲が疑問を口にした。

そりゃあ、
二人の光力よりも敵の影力のほうが勝っていたんだろ。
それと戦闘経験もだな。

じゃあ、どうしたらいいんだろうな。
やつは影力の雨を降らすから、
自己防衛に光力を割いちまって攻撃の威力が下がっちまう。

それに点岩礁。
あの壁は厄介だ。
こっちの力が更に削られる。

少しの間沈黙があったが、

降りしきる雨と傘を差している敬介たちを見て、

矢島が何かを思いついた。



傘だ。

傘?

なるほど。

矢島の傘と言う言葉を聞き、

周りや自分の様子から察した。

何がなるほどなんだよ。

一人が全力で味方を防御し、
もう一人が攻撃に徹する。
そういうことだろ。

大宮の説明で、

なるほどと納得してうなずく敬介。

そういうこと。

じゃあ、俺が攻撃役だな。
大宮、お前は防御役で。

いいぜ。

急に素直だな。

お前には自分を防御しながら味方を守るなんて器用なことできそうにないからな。

何だとーーー!!

またも揉め始める二人に、

周りの三人は同時に大きな溜息を吐いた。

第2章---三幻僧編---(41話)-不仲な二人-

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