突如として現れた三幻僧の幻重。


敬介、美咲、大宮の3人の元に、


夕立のような影術の雨が降り注ぐ。

くっ。
これが影術か。

お前がチンタラやってるせいで、
こんな目に。

こんな時に何言ってるの!!

降ってくる小さな黒い雨粒。


3人は自己防衛で身を守るが、


徐々に光力を削り取られていく。


20m離れたところで、


幻重は腹を叩いて笑っている。

どうだい?
手も足も出ないだろう?

吼波!!

大宮は吼波を放つが、


それもまた沢山の雨粒によって打ち消される。

それが効かねぇなら、
直接打ち込めばいいだろう!!

幻重に向かって一直線に走って行き、


腱撃を当てようとするのだが、


全く避けようともしない。

点岩礁(てんがんしょう)。

両手の親指と人差し指で円をつくり、


胸の前で構えると、


飛び込んでくる敬介の右足と幻重の間に、


大量の黒い雨粒が集まり、


岩石のようになった。

くそっ。
もう1度だ!!

蹴りは点岩礁を砕いたのだが、


腱激の威力が完全に失われてしまい、


身を引いた。

再び敬介が走りこむと、


大宮も同じタイミングで駆け出した。

腱撃!!

点岩礁!!

吼拳(こうけん)!!

だめだねぇ。

敬介とは別の方向から拳を打ち込もうとしたが、


先ほどの敬介同様、


合間に点岩礁を作られ防がれる。

このままじゃ負けちまう。
いったん退くぞ!!

そうね。

お前らだけで帰るんだな!!

バカヤロー!!
俺達の攻撃が全然通用してないんだぞ。

帰りたきゃ帰れ!!
負け犬が。

いいかげんにしなさい!!
体制を立て直すのよ!!

ちっ。

羽の舞(はねのまい)!!

たくさんの光の羽が辺りを覆いつくし、


幻重の目を眩ませる。

まぁ、
逃げちゃうのは仕方ないか。

僕は強いからね。

そう呟き、


黒いモヤとなって消えた。

第2章---三幻僧編---(37話)-突然の夕立-

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