謎の襲撃者との戦闘から数日経ったある日。

学校で起こった爆発事故のことは、

少しずつ過去の出来事となり、

現場近くには、

壁の修復工事のための資材が置かれている。

朝のホームルームが終わり、

クラスの中が少しざわつく中、

敬介は席へと近づく担任から声をかけられる。

形山。
ちょっといいか。

え?
はい。

担任についていくと、

そこは応接室だった。

俺、
なんかやっちゃいました?

そういうわけではないんだが……。
ほら、入るぞ。

失礼します。
お待たせしました。

部屋の中に入ると、2人の男が座っていた。

先生ありがとうございます。

どうもっす。

二人にお辞儀をすると、

担任はそそくさと部屋を出て行った。

形山敬介君だね?

え?
そうですけど……。

実は今日は君に聞きたいことがあってね。

あの……。
どちら様ですか?

あー、
すまんすまん。
まだ名乗ってなかったな。
俺は島本。
こっちのが……。

杉山っす。

二人の男が名乗ると。

それぞれ懐から警察手帳を取り出し、

敬介に見せた。

刑事さんですか。
それで、俺に話って?

やはり素性の分からない人間といきなり話すのは、

とても気がひけるのだが、

手帳を見せられ少し安心した。

先日、
この学校で爆発事故があったんだが、
知ってるね?

はい。

その時に、
現場で君がいるのを見かけた生徒が
何人かいるんだが、
何してたんだい?

刑事さん。
まさか、俺を疑ってるんじゃ……

いや。
そういうことではないんだ。

島本は、

現場で撮影された写真をテーブルに並べてみせる。

一見、
普通の事故現場に見えるだろう。
そういうこともあって、
警察ではこの爆発事故について、
ただの事故として処理された。

しかし、
事件の発生前に用務員の男性が、
中庭で不審な人物を見かけている。
この人物らしき人間を捜しているんだが、
何か心当たりはないかな?

そういうことですね。
特にはないです。

そうか。
もし、
何か思い出したらここに連絡してくれ。

わかりました。

そういって、

敬介に名刺を手渡す。

テーブルの上に並べた写真を仕舞うと立ち上がり、

部屋を出ようとした。

急に呼び出してすまんかったな。

では、よろしくっす。

杉山は先に部屋を出て行き、

島本も部屋の外に出た。

部屋を出た直後に、

島本は振り返って敬介を見た。

そうだ。
最後にもう一つ。
黒いモヤみたいなものとか見なかった?

いえ……、
見てないです。

だよな。
じゃあ、よろしく。

二人が部屋を出て行き、

応接室に一人取り残された敬介は、

一人疑問に思っていた。

黒いモヤ?
まさかシャドーってことはないよな。

学校を出た島本と杉山は、

他の現場に向かって歩いていた。

結局、
何の手がかりもなかったすね。

いや。
最後の形山って生徒は何か知ってるな。

え?
なんでっすか?

感だよ。
刑事の感。

敬介の言動や表情から感じ取ったのか、

何か手がかりをつかめそうな気がしている島本であった。

第2章---三幻僧編---(34話)-呼び出し-

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