夜の楽坂公園で、
謎の敵に襲われた敬介と美咲。
夜の楽坂公園で、
謎の敵に襲われた敬介と美咲。
突然の襲撃で捕まった美咲を取り戻そうと、
敬介と急遽駆けつけた矢島で戦った。
なんとか美咲は取り戻せたが、
そいつの目的は今だ分かっていない。
そして、
そのことをカラウに報告するため、
敬介、美咲、矢島の3人は、
翌日の夕方頃に秋野実神社に集まった。
拝殿前の石段に座るカラウの前には、
3人が並んで立っている。
そうか。
とうとう来たか……。
それよりもお前らよく生きてたな。
いえ、かなりきわどい状況でした。
一歩間違えば……。
矢島が敬介と美咲の方を軽く見て答え、うつむいた。
そして、
足を広げ腕を組むカラウも口を閉じ黙り込んだ。
美咲はともかく、
直接敵と対峙した敬介と矢島は妙な感覚に陥っている。
少しの間、
それぞれの間に静寂があったのだが、
カラウが話し始める。
まぁ、
なんとかなるだろう。
油断は禁物だがな。
いつもの感じで言うカラウの言葉で少しほっとする3人。
漂っていたよくない空気が消え去ったようである。
わかりました。
いつも以上に気を引き締めることにします。
分かったね。
敬介君、美咲ちゃん。
返事をすると、
すぐに報告は終わり解散となった。
それから数時間後。
ここはとある廃ビルの中。
キレイとは言えない、
薄暗く、小汚い部屋の中には、
雑誌やゴミが散らばり、
タイルの床はほこりで汚れている。
ソファーには、
目つきが悪く、
首からは民芸品のような首飾りをぶら下げた男が、
座っていた。
男の前には、
細身の男と太めの男が二人立っているのだが、
部屋が薄暗いせいで顔はよく見えない。
そして、
ソファーに座る男は脚を組み直し、
怒声をあげた。
幻流(げんりゅう)!!
お前に任せていた例の件はどうなった?
突然の怒鳴り声に、
細身の男が慌て出した。
どうやら、幻流とはこの男のことらしい。
いや~、待ってくれ!
実は見つけたんだ。
けど……。
けど何なんだ!?
ソファーから立ち上がった男の表情が、
不満そうに歪む。
実はさ~。
あんたに報告する前に先兵を送ったが……。
全滅しちゃってよ~。
頭を下げながら、
上目遣いでリーダー格の男を見る。
バカヤロー!!
てめぇ、どういうつもりだ?
幻流を殴り倒し、
威圧的な顔つきで睨みつけた。
す、すまん。
だっ、だからさっ。
これから、
作戦を練って不意打ちをかけようぜ?
土下座をして謝る幻流を見て、
鼻で笑った。
まぁ、いいだろう。
やり方は任せる。
だだし今回は……、
お前が行ってこい。
男は太った男を指差し、
命令した。
ふふふ。
まぁ、僕に任せといてよ!!
幻流みたいなヘマはしないから。
それに僕もやつらと戦ってみたいし。
三幻僧(さんげんそう)の目的を忘れるなよ。
太く鈍い声で幻流を蔑み、
大きく突き出た腹をポンと叩いて、
部屋を出て行った。