光術士の修行を始めてから、

友達の前川との付き合いが悪くなってしまった敬介。


前川から最近の自身のことについて指摘され、

久々に遊びに行くことにした。

ゲームセンターの中は、

たくさんのマシーンの音や客達の声で賑わっていた。

といっても、

学生ばかりなのだが。

そんななか、

敬介と前川の二人は格闘ゲームで遊んでいた。

おっしゃ!!
やっぱり俺のほうが格ゲー強いな。

うるせーなー。
俺はお前と違って、
そんなにこのゲームやってねぇから。

なかなか遊んでいなかったのだが、

たまにはこういうのもいいなと思っていた。



そして、

格ゲーの次にクレーンゲームをする事にした二人は、

座っていたイスから立ち上がり、

歩き始めた。

そういえばさ。
8組の天野と付き合ってんの?



はぁ!?
ばかっ、ちげーよ!!
な、習い事が一緒なんだよ!!

あっはっはっ。
どんだけ顔真っ赤にしてんだよ。
それに習い事って、
お前なんかしてたっけ?



いや、別に、あれだよ。
格闘技的なやつだよ。



習い事を、

格闘技といってごまかそうとしていたのだが、

さすがに無理があったかもしれない。

格闘技ね……。

わっ!?

おいっ!!
お前どこ見て歩いてんだ!!

突っ込んで聞こうとしていた前川は、

よそ見をしていたために、

前方から歩いてきた男とぶつかってしまった。

前川がぶつかったのは、

いかにも不良という感じにみえる

2人組の内の1人。



ご、ごめん……。

急に静かに謝りだす前川。

なんだって?

前川に近づく。

あやまってるだろ。

やめとけ、佐伯(さえき)。
こんなやつ相手にしてもしゃあない。
いくぞ。

そういったのは前川がぶつかった男。


男は敬介の顔を軽く見下ろすように見ると、


そのまま歩き出した。

大宮(おおみや)?
ったく……わかったよ。

その後、

男は歩いていった大宮に走って付いていった。

2人が立ち去ると、

前川は息をはいて胸を撫で下ろす。

いや~、危なかった。
さっきの男、
大宮ってやつだよ。



大宮?
そいつそんなに危ないのか?

前川が、

本当に危険から脱したかのような顔をしているので、

いったいどんなやつなのか気になる敬介。

危ないというか、
よっちゃいけないオーラが出てるからな。
絡んできたチンピラを1発殴っただけでのしたりしてるみたいでさ。
それに、
最近起きてる事件の現場であいつを見たっていう目撃情報もあるみたいだからな。
関わんないほうがいい。

少しずつ、

前川の表情が楽しげになってきている。

おそらく、

ちょっとした有名人のようなやつと関わったことが、

話しているうちに楽しくなってきたのだろう。

へー。
じゃあ、あんまし関わんないほうがいいな。
俺もさっきそいつに睨まれたし。

面倒事には関わらない方がいい。

敬介にとって大事なのは、

今は光術の修行をして、

シャドー達を倒し、

次元の門を閉じる。

そのために余計な時間は使えない。

なんか少し萎えたし、
今日は帰ろーぜ。



あー。
そうだな。

前川が帰ろうと言い出したので、

そのまま帰ることにした。

大宮。
さっきのやついいのかよ?

敬介と前川がゲームセンターから出た頃。

まだ、

ゲームセンターの中に残っていた2人は話していた。

ああ。
あいつはいいんだ。
いづれ戦うことになるからな。

そういって、

大宮は少しだけ笑みを浮かべた。

第2章---三幻僧編---(30話)-ゲームセンター-

facebook twitter
pagetop