僕だって自分の作った薬が
悪用されたらって考えると、
同じような行動をとると思う
みんなを助けるために作った薬が
みんなの命を奪う薬として使われたら
耐えられないもん……。
僕だって自分の作った薬が
悪用されたらって考えると、
同じような行動をとると思う
みんなを助けるために作った薬が
みんなの命を奪う薬として使われたら
耐えられないもん……。
実際、俺の技術や研究成果を
悪用しようとしている連中に
何度も狙われてきた。
そんな時にサララに助けられてな。
サララにっ!?
アイツ、頼りないように見えるが
強大な魔法を使えるんだ。
成功率は低いがな。
そういえば、
サララは魔法の成功率が低いって
言ってましたね。
俺が襲われていた時、
通りがかったアイツに助けられた。
たまたま魔法が成功して
敵を一瞬で滅しやがった。
そうでしたか……。
でもガイネさんとの出会いや
その時に魔法が成功したのは、
神様のお導きですよ。
ふっ、かもな……。
ガイネさんは微笑しながら頷いた。
技術者だからもっと現実的な考え方を
持っているのかと思っていたから、
ちょっと意外に感じる。
最初の頃は俺の死によって
研究成果が闇に消えるのなら
それも仕方ないと思っていた。
悪用されるよりマシだからな。
だが、完成の糸口が
見えてくるとその想いは変わった。
技術を誰かに伝え、
完成させてほしいってな。
その相手がセーラさんですか?
コイツなら全てを任せられる。
正しい使い方をしてくれる。
根拠はないが、そう思った。
技術者の勘ってやつだな。
えぇ、セーラさんならきっと
みんなの笑顔のために
技術を使ってくれます。
僕もそう信じています。
買い被らないでくださいよぉ。
だったら、
僕も全力でガイネさんの治療の
手助けをします。
吸命病の薬、作り続けます。
バーカ、あまり気負うな。
お前まで倒れるぞ?
望むところです。
僕だって自分にできること、
精一杯やって
ガイネさんを助けたいですから。
ふ……そうか……。
なんだかガイネさんは嬉しそうだった。
そんな姿を見て、僕も嬉しい。
だって僕の薬で希望を持ってくれるなんて、
薬草師としては最高に名誉なことだから。
その直後、ガイネさんは部屋の隅にある
本棚を指差して僕に話しかけてくる。
トーヤ、そこの本棚の最上段、
緑色のファイルがあるだろう?
そいつをお前にやる。
今の俺には必要ないものだからな。
なんなんです?
俺がギーマ先生から受け継いだ
身体能力を強化させる秘薬の
製法が書いてある。
お前ならきっと、
読んだだけで理解できるだろう。
いいんですか、
そんな大切なものをいただいて?
本棚の肥やしにしているより
お前が持っている方が
よっぽど有益だよ。
では、ありがたく頂戴します。
それとある程度、
俺の治療のメドが立ったら、
ここよりさらに北にある
地底都市アンカーへ向かえ。
地底都市……。
そこにリムって名の
バカがいるはずだ。
そいつを訪ねろ。
リムさんですか?
ギーマ先生の弟子だ。
俺と同期だったんだ。
アンカーの町にいる
リムさんですね?
分かりました。
さ、お喋りはここまでだ。
お前はさっさと寝ろ。
私たちはもう少しだけ
作業を続けるのですぅ。
程々にしておいて下さいね?
分かってるよ。
その時、廊下の方から誰かの気配がした。
そして部屋の中へゆっくりと入ってくる。
それはクロウくんだった。
…………。
あれ? クロウくん?
目が覚めちゃったの?
いえ、そうではありません。
実は……。
クロウくんは冷静な感じで
何かを切り出そうとしている。
いったい、何を話すつもりなんだろう?
次回へ続く!
ご覧いただきありがとうございますっ! ストリエさんの終了後の連載はまだ決まっていません。短編に関してはcomicoさんを予定しているのですが……。ご希望があれば参考にさせていただきます。ただ、続けるにしても同じ形では出来ないので、なんらかの修正や変更が入ると思いますっ!