僕だって自分の作った薬が
悪用されたらって考えると、
同じような行動をとると思う

みんなを助けるために作った薬が
みんなの命を奪う薬として使われたら
耐えられないもん……。
 
 

ガイネ

実際、俺の技術や研究成果を
悪用しようとしている連中に
何度も狙われてきた。
そんな時にサララに助けられてな。

トーヤ

サララにっ!?

ガイネ

アイツ、頼りないように見えるが
強大な魔法を使えるんだ。
成功率は低いがな。

トーヤ

そういえば、
サララは魔法の成功率が低いって
言ってましたね。

ガイネ

俺が襲われていた時、
通りがかったアイツに助けられた。
たまたま魔法が成功して
敵を一瞬で滅しやがった。

トーヤ

そうでしたか……。
でもガイネさんとの出会いや
その時に魔法が成功したのは、
神様のお導きですよ。

ガイネ

ふっ、かもな……。

 
 
ガイネさんは微笑しながら頷いた。

技術者だからもっと現実的な考え方を
持っているのかと思っていたから、
ちょっと意外に感じる。
 
 

ガイネ

最初の頃は俺の死によって
研究成果が闇に消えるのなら
それも仕方ないと思っていた。
悪用されるよりマシだからな。

ガイネ

だが、完成の糸口が
見えてくるとその想いは変わった。
技術を誰かに伝え、
完成させてほしいってな。

トーヤ

その相手がセーラさんですか?

ガイネ

コイツなら全てを任せられる。
正しい使い方をしてくれる。
根拠はないが、そう思った。
技術者の勘ってやつだな。

トーヤ

えぇ、セーラさんならきっと
みんなの笑顔のために
技術を使ってくれます。
僕もそう信じています。

セーラ

買い被らないでくださいよぉ。

トーヤ

だったら、
僕も全力でガイネさんの治療の
手助けをします。
吸命病の薬、作り続けます。

ガイネ

バーカ、あまり気負うな。
お前まで倒れるぞ?

トーヤ

望むところです。
僕だって自分にできること、
精一杯やって
ガイネさんを助けたいですから。

ガイネ

ふ……そうか……。

 
 
なんだかガイネさんは嬉しそうだった。

そんな姿を見て、僕も嬉しい。
だって僕の薬で希望を持ってくれるなんて、
薬草師としては最高に名誉なことだから。


その直後、ガイネさんは部屋の隅にある
本棚を指差して僕に話しかけてくる。
 
 

ガイネ

トーヤ、そこの本棚の最上段、
緑色のファイルがあるだろう?
そいつをお前にやる。
今の俺には必要ないものだからな。

トーヤ

なんなんです?

ガイネ

俺がギーマ先生から受け継いだ
身体能力を強化させる秘薬の
製法が書いてある。

ガイネ

お前ならきっと、
読んだだけで理解できるだろう。

トーヤ

いいんですか、
そんな大切なものをいただいて?

ガイネ

本棚の肥やしにしているより
お前が持っている方が
よっぽど有益だよ。

トーヤ

では、ありがたく頂戴します。

ガイネ

それとある程度、
俺の治療のメドが立ったら、
ここよりさらに北にある
地底都市アンカーへ向かえ。

トーヤ

地底都市……。

ガイネ

そこにリムって名の
バカがいるはずだ。
そいつを訪ねろ。

トーヤ

リムさんですか?

ガイネ

ギーマ先生の弟子だ。
俺と同期だったんだ。

トーヤ

アンカーの町にいる
リムさんですね?
分かりました。

ガイネ

さ、お喋りはここまでだ。
お前はさっさと寝ろ。

セーラ

私たちはもう少しだけ
作業を続けるのですぅ。

トーヤ

程々にしておいて下さいね?

ガイネ

分かってるよ。

 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
その時、廊下の方から誰かの気配がした。
そして部屋の中へゆっくりと入ってくる。

それはクロウくんだった。
 
 

クロウ

…………。

トーヤ

あれ? クロウくん?
目が覚めちゃったの?

クロウ

いえ、そうではありません。
実は……。

 
 
クロウくんは冷静な感じで
何かを切り出そうとしている。

いったい、何を話すつもりなんだろう?
 
 

 
 
 
次回へ続く!
 

第101幕 道しるべ、そして……

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