渋谷

おう、東條。よくここまでたどり着いたな

目的のその場所には、うちの国語の教師である渋谷が待ち受けていた。

東條 夕日

まあな。あの数字と文字の対応は、いろは歌を示していた。そしてポストカードに書かれていた数字にいろは歌の順番で文字を当てると、「と・ら・い・あ・む・く・る」になる

渋谷

だけどそれだけじゃここには辿り着けないぞ

東條 夕日

ああ。だけどこのうちの「む・く」は少し姿を変えているそうだ。いろは歌と言えば古典だろう。そうすると、「む・く」も古典表記になっているという事だ。それを現代語として読むときは「ん・ぐ」と読むこともある。つまり、「トライアングル」。地図に三角で表記されていたここ、幼稚園となる

渋谷

流石だ東條。さすがあいつらが目を付けるだけはあるな。・・・お前をプレイヤー側に回した甲斐があったよ

東條 夕日

あ? 俺をこの競技に参加させたのは小柳じゃないのか?

渋谷

ああー。これは秘密だったか・・・まあいいや。あいつらには黙っといてくれよ。まあ、お前を推薦したのは俺だが決定したのはあいつらだしな。ヒントを出す側も同じように

東條 夕日

その言い方だと、企画側の人選にも何か理由がある様に聞こえるが?

渋谷

んー、まあそれはいずれ話すよ。ただ、一つだけ言っておく。謎解きだけでなく、そこで出会った人たちのことも良く観察しておくんだ

東條 夕日

何かの意味があるのか

渋谷

時期が来たら分かるさ。さて、じゃあそろそろ俺からも問題を出してやろう。ほれ。次はここに行け

言って、一枚の紙が渡される。

渡されたものは、古びた紙に汚い文字で何かが書かれている。

東條 夕日

流石にお前は違ったか

渋谷

何のことだ?

東條 夕日

いや、こっちの話さ

渋谷の質問の軽く受け流し、俺はもらった紙に目を落とした。

霧濃ク成増々深ル
務メテ思フ君ノ姿
芸習ヒテ愈々美シク
草ヲ掻キ分テ逢ヒニ行ク

東條 夕日

古文か。お前らしいな

渋谷

まあな。それじゃ、俺の秘密といこうか。「俺は仲間外れだった。そこには、六匹の動物がいた。虎、象、カバ、蛇、キリン、シマウマだ。皆で集まって遊ぶことになったが、その六匹の中で俺だけが仲間外れにされた。俺が入ると、その遊びは一気に面白くなくなるんだそうだ。だから、俺は独り隅っこにいたよ」

東條 夕日

秘密も何も、本当にお前は独りだろ?

渋谷

おい東條。そんな事ならこの場所が「2」だという事は教えんぞ

東條 夕日

助かったよ渋谷。んじゃ、俺はそろそろ行く

渋谷

しまった!? まあいい。しっかり頑張れよ

東條 夕日

ああ。目的地で待ち受ける人物にも、多少は目をやってみるさ

後ろ手を振りながら、元気な園児の声が飛び交う幼稚園を後にする。

こんにちは。ご覧頂きありがとうございます。

少し間が開いてしまいました。学校が始まってすぐは、色々とやることが多くて更新が遅れそうです(´;ω;`)

さてさて、渋谷先生(刑事?)が意味深な言葉を残していましたが、どんな思いがあったのでしょう。この辺りは、最終章くらいで分かるかな~と思います。

一応最終章まで、あと一つか二つくらいの出来事がある予定です(予定は未定)・・・それまでお付き合い頂ければ、本当に嬉しい限りです!!

それでは、今回はこの辺りで失礼します(*- -)(*_ _)ペコリ

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