【61】
目が覚めると誰かいた。
女の子が。
あなたは、カボチャの女神?
そう
そして生贄の命を狩る狩人でもある
あずさ2号は歌わないけど
……
古いネタを。
お前はいったいいつの生まれだ。
まぁ要するにこの町のために死んでw ってことかな
それってボクが死んだら今あるカボチャの蔓にあっという間に実がなって、ハロウィンに間に合っちゃうってこと?
やだなー。そんな都合のいいことあるわけないじゃない。
来年、成ったらいいね、ってところかな
生贄なんてのはそんなものよ?
……もうちょっと建設的にいきませんこと?
例えば?
ボクが死ななくて、カボチャも調達できる話
だからそんな都合のいいことあるわけが、
じゃあ聞くけど、あなたはなんのためにいるの?
他人の命を狩って、それで成果のひとつもだせないとか存在自体に意味ないよね
それで女神とか、
ハッ、女神が聞いて呆れる
女神、女神、ってなにか力でもあるわけ?
……失礼な。
これでも次元に穴をあけてどこにでも移動できるというミラクルな技がある。
どうだ。すごいだろう!
その特技、ボクが使えばもっと上手くやれる!
……
じゃあ、やってみるがいい
ボクは女神の力を受け取った。
それからボクは
近隣の町に住む
成金の家の娘を誘拐した。
大物じゃない。
中の上、もしくは上の下くらい。
一代で成り上がった奴がいい。
警察権力を動かすほどの力は無く、
コネも無く、
資産の増やし方で
目を付けられているような
後ろ暗い奴。
女神の力があれば
侵入するのも誘拐するのも造作ない。
形跡も残らない。
そして身代金を受け取り、
海外の銀行をいくつも経由して
出所を不確かにする。
その後、受け取った金で
建設会社の株を買い、
同時に
無駄に広いだけの神殿の庭を
巨大カボチャプラントにする工事を
発注。
大型車両が入れる道路がないため
道路も整備。
橋も新しいものに架け替え。
神を蔑ろにすると斧で切られる、
と脅せば
頭の古い役人は融資も出し、
簡単に判も押した。
無論、
株を買った会社に受注が行くようにする
裏工作も忘れずに。
そして。
な、なんと資産が倍に!
プラントで生産管理されたカボチャは
品質、収穫量も安定。
工場ができたおかげで
町人の就職率も上がり、税政も潤った。
そればかりか、就職口を求めて
若者がやって来るようになった。
キルバスの銘柄も知れ渡ることになった。