【62】

























お願いと言うのは?

実はの。
文通相手が数か月前から音信普通でな

文通!!


女神が?

なにその意外そうな顔

あ、いや、ええと

文通をやるような
そんなしおらしいタマには見えない。




が、

そんなことを口に出した日には
斧でバッサリやられるだろう。



そういえば






友達が音信普通になっちゃってさ


……こんな話
どこかでものすごく聞いた気が。



サン・デルモントに住んでいるらしいということだけはわかっているのじゃが


間違いない。
あのメガネ少年だ。

メガネとメガミ、1文字違いか。
こりゃ1本取られたね!

なんて言っている場合じゃないけど。


で、その文通相手の消息を調べてこい、と


サン・デルモントに戻ることになるけど
汽車に乗ればそう遠くもない。

これも乗り掛かった舟だ。

んー、いや

わらわも行く

……神殿から出られないとか、そういうことは無いんですかい


そもそも次元に穴をあけて
自由に行き来していた女神だ。
出かけられないはずがない。


神殿に結界が張ってあるとか
人質を取られているとか
そんな物騒なことも考えたけれど


言動から見るに
そんな心配をする必要も
ないようだ。



だったら、なぜ今まで
動こうとしなかったのだろう。







そんなことも
ちらっと思ったけれど




きっと
YDK(ある意味で)だからなのだろう。

さ、そうと決まれば行くぞ




女神はボクの手を引っ張ると
神殿から飛び出した。





場所は!?
知ってるの!?

住所は完璧じゃ!
暗唱できるぞ!!

文通してたんだもんね……


そういうところだけYDK(本来の意味)。

でもそれを本人に告げる勇気は
ボクにはない。







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