やっと出会えたガイネさんだけど、
今は薬草師をしていないってことだし
体調もかなり悪そうだ。

これからどうすればいいのかな……。
 
 

トーヤ

あっ! そうだ!
クロウくん、ご主人様の用事は
済ませなくていいの?

クロウ

そうでした。
ガイネさん、僕の主人のタイムより
手紙を預かっています。
お受け取りください。

ガイネ

タイム? 初めて聞く名だな。

 
 

 
 
クロウくんは懐から便せんを取り出し、
首を傾げているガイネさんにそれを渡した。

ガイネさんは早速、封を開けて中を確認。
するとすぐに目を丸くしながら
手紙を僕たちの方へ向ける。
 
 

ガイネ

なんだこれ? 白紙じゃねーか。

クロウ

えっ? そうなんですか?
でも僕にも理由は分かりません。
預かったものをそのまま
お届けしただけなので。

トーヤ

そうだよね、
中を見るわけにはいかないもんね。

クロード

あぶり出しとか、
何かの魔法を使うことで文章が
浮かび上がるとか?

セーラ

でも加工したような感じは
しませんけどねぇ……。

ガイネ

同感だ。これはただの白紙だ。
意味が分からない。

クロウ

一応、主人には
このことをそのまま伝えます。

トーヤ

そうするしかないよね。

 
 
うーん、これはどういうことなんだろう?


どこかですり替えられたということは
考えにくいし、
中に入れる手紙を間違えたのかな?
 
 

ガイネ

――さて、と。
それじゃ、今度はトーヤたちの
用件を済ませてやらないとな。

ガイネ

早速だが、俺の薬を調薬してくれ。
シンディが認めた薬草師なら
できるだろうからな。

トーヤ

ガケ茸を煎じたものは
どうするんですか?

ガイネ

いらねーよ。
サララに作れる薬は
それしかないから頼んだだけだ。
あれならバカでもドジでもできる。

サララ

はぅぅ……。

セーラ

ストレートな人ですねぇ。

トーヤ

いやいや、
セーラさんも他人のことは
言えないと思いますけど。

ガイネ

カレンとか言ったな?
お前は医師なんだろ?
さっさと診察して適切な薬を
薬草師のふたりに調薬させろ。

カレン

は、はい……。

 
 
カレンはいつものように診察魔法を使って
ガイネさんの診察をおこなった。

でもそれを終えると息を呑み、表情が曇る。


この重苦しい雰囲気は
ただごとじゃないような感じだけど……。



それに対してガイネさんは
悟ったように微笑みながら小さく息をつく。
 
 

ガイネ

ふ……俺の病状が分かったか?
まぁ、そういうことだ。
この病状でサララにも作れて
効果的な薬はガケ茸の煎じ薬だけ。

カレン

確かにその通りですね……。

トーヤ

カレン、どうだったの?

カレン

……詳しい病状はあとで話すわ。
今は私の指示する4種類の薬を
調薬してくれる?

トーヤ

う、うん……。
で、どんな薬を作ればいいの?

カレン

ブレンナイン、
ディハンコトキシン、
ウィルナーゼ、ギシンナール。

トーヤ

えっ!? そ、その薬って……。

ライカ

……っ……。

 
 
ライカさんも薬のラインナップを聞いて
ガイネさんの病気がなんなのか、
理解したみたいだ。



命吸病(めいきゅうびょう)だ……。



治療が難しくて、しかも致死率の高い病気。
少し前まで不治の病とされていたほどだし。

今は薬や治療法が開発されたけど、
それでも完治するのは全罹患者のうちの
1%にも満たないって言われてる。


周りの人に感染しないことは
経験則から判明しているけど、
発症原因はいまだ分かっていないんだよね。



ガイネさんは当然、
そういうことを知っているんだろうな……。
 
 

 
 
 
次回へ続く!
 

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