【28】
助け、
大丈夫か!?
!
上から伸びてきた手が
ボクの腕を掴んだ。
見ると、
さっきの狼男が
ボクの手を掴んでいる。
ぐぬぬぬぬ……ぅっ!
男は、力の限り
ボクを引っ張り上げようとする。
足場の悪い砂の上、
踏ん張ることもできない場所で
男はそれでも
少しずつ、少しずつ
ボクを引き上げていく。
……
ぐうう
そして、
ボクは穴の外へ引っ張り上げられた。
はあ、はあ
はあ、はあ
助かった。
砂漠に吹く砂混じりの乾いた風までもが
涼しく感じる。
全く。無茶をするんじゃない
……
さあ、早く乗るんだ
狼男は戦車のひとつへと
ボクを促す。