【20】



































戦車に乗り込んで
どれほどの時間が経ったのだろう。

ついたぞ!


狼男はそう言って
ハッチを開けた。



























うわ……あ


驚いた。
家がお菓子でできている。

獣人の村なのだろうか。
人々は戦車を怖がることもなく
駆け寄ってくる。

おかえりー!

おかえりー!

おう、いい子にしてたかー?


親子だろうか。











……ルチオ?

パオラ!?


驚いた。
何故ここにパオラがいるのだろう。


お婆さんの家に行く途中で
ボクのように
捕まってしまったのだろうか。

違うよー。
ここはパキパキ村

ええ!?

おや、パオラのお友達だったのですか?
これは良い拾い物をしました


そこへ
鳥頭の男がやってきた。

あ、ええと……助かりました


本当に。
この人が乗り合わせていなかったら
ボクは今頃どうなっていただろう。

トルディさんはね、人買いに捕まえられる人たちを助けて回ってるんだよ

何回も捕まってるから縄抜けが得意になっちゃったんだよね

私をうっかりさんのように言うのはおやめなさい。
わ・ざ・と、捕まっているんです


道理で妙に手際がいいと思った。

「好機を待て」

だなんて
助けに来るのが
わかってたみたいな言い方をしたのは
このせいだったのか。

最近は獣人には住みにくい世の中になったもんですね。


聞けば、
もう次の誰かを助けるために
旅立つと言う。

でも、あの人……







思い出す。
あの人は、獣の耳があった。

あの人は
獣人の敵になることで
居場所を保っているのかもしれない。




今日はうちに泊まりなよ。
パンプキンタルトの試食もしてほしいし

できたんだ

うん! 自信作!!


パオラは町に持って帰るお菓子を
手に入れている。


でもボクは?

ボクは、
まだなにも見つけていない。

……

ルチオ?


ボクは、
パオラと一緒に
ゆっくりしてる暇なんてない。

ごめん、ボクやっぱり行くね

疲れてるでしょ? 休んで行ったら?

そうだ!
だったらルチオもここでお菓子作って行くってのはどう?

うん……でも、ごめん。
ボクはボクの手で見つけたい


なんでもいいから
持って帰るん駄目なんだ。

パオラにとっての1番が
おばあちゃんのタルトであるように

ボクの1番を。

そ、か

どこかへ行くつもりならご一緒しますか?

いいんですか!?

女の子の一人旅は物騒ですからね。
お菓子を探しているならサン・デルモントにでも行ってみればいい


願ってもない。

それに、パオラの知り合いなら
悪い人ではないだろう。

あ、待って

お弁当ね

パンプキンタルト。
途中で食べて

パオラ……

さあ、それじゃ行きましょうか

ボクは
パキパキ村を後にした。

(持ち物にパンプキンタルトが追加になります)















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