【13】


























地響きのような音がする。


なんだろう。
馬にしては音が重い。

……ちょっと待ってろ


そう言うと、あの人が席を立った。
出入り口の布の隙間から
外の様子を窺っている。

なんだろ

よくはわかりませんが、これはチャンスかもしれません

そこのお嬢さん、後ろを向いて

は? はい

鳥男は
ボクと背中合わせになるように座ると、
隠し持っていたナイフで
ボクの手首の縄を切った。

黙って。縛られているフリをしていなさい

そう言いながら
シルフィの縄も外す。

縄、切ろうか?

私は大丈夫

鳥男はそう言いながら
肩を2、3度揺すった。


それだけで縄は
魔法のようにぱらりと解けた。

すごい!

このくらいできて当然です。
さ、行きますよ

行く?

売られたいなら止めませんがね


男はそう言うなり、
外を窺っていた彼に体当たりをした。

うわっ!!


まさか体当たりをされるとは
思っていなかったのだろう。

彼はバランスを崩し
そのまま馬車の外に落ちた。

さ、早く!

男はシルフィを小脇に抱えると
ひらりと馬車を飛び降りて行った。

あ、ホウキ


今更ながら
ホウキを持っていないことに気がついた。

店に置いてきてしまったのか
別の場所にまとめられているのか

とにかく、見える範囲にはない。

どうしよう

でも……今はホウキより逃げることを考えなきゃ

あの鳥の人が信用できるかは
わからないけれど
ここにいるよりはいい。

ボクは馬車を飛び出した。






























外に出ると
馬車のまわりを戦車が取り囲んでいた。

その1台に
鳥男が乗り込むのが見えた。

待て!

呼び止める声が聞こえたけれど
それで止まれるはずがない。


でも、この戦車は……

こっちだ!

近くの戦車から
狼のようなひとが手招く。




この戦車は味方なの?
あの人は味方なの?


あれに乗ってしまっても
大丈夫なの……?

(持ち物からホウキ、武器防具が消えます)














さて、どうする?

乗る



乗らない

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