【14】
























……いい匂いがする

ひとつの森に通りがかった時、
どこからか甘い匂いが漂ってきた。

これは、ジンジャークッキー?

甘さの中にしゃっきりとした鋭い辛み……その香りが食欲をそそり、ただ甘いだけのクッキーとは一線を画した食べ飽きない味を作り出す

これは期待できるかも!






ボクは森に降り立った。

扉や窓がついた大きな木が
何本も生えている。
きっとこれが家。

でも、人の姿はない。

ええっと

ジンジャークッキーを
手に入れるには
買うか貰うかしないといけない。

でも

どんな人が住んでいるかも
わからないのに
大声で呼ぶのは危険だ。









捕まえられて売られたり





……売られるのも困るけど

もし鬼の住処だったりしたら
捕まえられて
今晩のシチューの具に
されてしまうことだってあり得る。


ボクは窓からそっと
中を覗いた。



















が。

見えない









そんな時。

……そんなところから盗み見しているのは、だぁれだ?

……と、声がした。

ぴっ!

おそるおそる振り返ると




























どう見ても
生物には見えないものが
立っていた。





























だぁれ、だ?

……

ボクの記憶が確かならば
これはジンジャーボーイとか呼ばれる
クッキーだ。

あの甘い匂いは
彼らからしたのだろうか。







でも
全長が160cmくらいある。

勝手に他人の家を覗くなんて

覗くなんて

泥棒かな?

泥棒ね

泥棒なら

卵とミルクと小麦粉と混ぜて

200℃でこんがりと焼かなくては!

ち、違うんです!
ボクはお菓子を探していて、えっと、いい匂いがしたから、

クッキーが目当てなのね?

クッキーが目当てだということは

卵とミルクと小麦粉を混ぜて

200℃で焼かなくては!

わあ! 待って待って!!

でも残念なことに卵がない

だから作れない

それじゃ、卵を持って来たら作ってくれる?

……

……

そうね。卵を持ってきてくれたら

ファイアバードの卵を持ってきてくれたら

……ニワトリじゃ駄目なわけ?

さあどうする?

どうする?

行きます! 行きますって!





さて、どうしよう?

とりあえず森の外に出る。


装備品を買う。


情報を聞き出す。

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