ワイバーンが僕たちの方へ迫ってくる。
それとともに追われている女の子の姿も
ハッキリ見えるようになってくる。
ワイバーンが僕たちの方へ迫ってくる。
それとともに追われている女の子の姿も
ハッキリ見えるようになってくる。
早くこっちへ避難して!
この場は私たちが食い止めるから!
はっ、はいっ!
助かります~っ!
行くわよっ!
はいっ!
承知なのですぅ!
女の子が僕たちのところへ辿り着くと同時に
カレンたちはワイバーンへ向かって
突進していった。
一方、ライカさんは結界魔法を使って
僕たちの周りを魔法力の壁で包み込む。
大丈夫ですか?
は、はい、なんとかぁ。
っ!?
どうしました?
私の顔を見て
驚いているみたいですけど?
い、いえ、なんでもないです。
詳しい事情はあとで聞きます。
今はワイバーンを倒すのが
先ですので。
あ……私も攻撃魔法に
もう一度チャレンジしてみます。
実はあのモンスターを
魔法で倒そうとしたんですけど、
制御に失敗しちゃって。
私、魔法の成功率が低いんです。
大丈夫、今回は見てて。
というか、もう決着はついたかも。
ほら、あっちを見て。
えっ?
僕たちが少し言葉を交わしている間にも
カレンたちはワイバーンに
激しい攻撃を仕掛けていた。
たぁ~っ!
せいっ!
はぁあああああぁ~っ!
ぐぉおおおおぉーん!
翼はセーラさんがすでに分断。
カレンとクロードは
レイピアと剣で体を切り刻んでいる。
ワイバーンは最後の抵抗として
炎を吐いているけど、みんな見事にかわしてる。
す、すごいですね、皆さん。
お強いんですねぇ。
あ……。
キミ、膝を擦りむいてるね?
逃げる途中で転んじゃったので。
すぐに手当をしてあげる。
僕、薬草師なんだ。
あ……。
僕は荷物の中から擦り傷によく効く
塗り薬を取り出して、女の子に治療を施した。
即効性はないけど傷口が残らないようにする
効果がある薬だから、
軽い怪我の時にはこれが最適だ。
戦いが終わって戻ってきたカレンたちにも
同じ薬で治療をしてあげた。
助けていただき、
ありがとうございましたっ!
私はサララと申します。
どうぞ、サララとお呼びください。
素直ないい子ですねぇ。
僕はトーヤ。
それとこっちにいるのが――
僕はサララにみんなを紹介した。
カレンだけはちょっぴり
ピリピリしていたみたいだったけど、
ほかのみんなは
おおむね好意的にサララを見ているみたい。
私はダンリの町の近くに
住んでいるんです。
この峡谷にはガケタケを採りに来て
その途中でワイバーンに襲われて。
確かにこの環境は
ガケタケの生育に
適しているもんね。
それとガケタケが
必要ということは、
誰か体の弱った人に
煎じて飲ませてあげるのかな?
えぇっ!?
なぜそんなことが分か――
あ、さっきトーヤくんは
薬草師って言ってましたっけ。
それなら納得かも。
その人、具合が悪いの?
僕がそう問いかけると、
サララはハッと息を呑んで
懇願するように僕を見つめてくる。
あのあの、トーヤくん!
もし良かったら
調薬をしてもらえませんか?
町のお医者さんは
診察はできても薬は作れないって
おっしゃるんです。
あのね、実は僕たち、
ダンリへ向かっている途中なんだ。
えっ? そ、それじゃ、
ぜひお願いしますっ!
診察料は絶対に用意しますっ!
いいよね、カレン?
うん、これも何かの縁だしね。
患者がいると聞いて
無視はできないもんね。
みんなはどう?
私はおーけーですよぉ。
異存なしです。
僕は皆さんに
ついていくだけですので。
私も薬草師ですから、
ご協力できることがあれば
なんでもします。
そういうことだから、サララ。
僕たちを案内してもらえる?
はいっ!
ありがとうございますっ!
サララは嬉しそうな顔をして頭を下げた。
こうして僕たちはサララの案内で
患者さんのところへ向かうことになった。
次回へ続く!