アラビアータ=
arrabiato とは「怒っている」という意味の形容詞で他には「熱狂的な、猛烈な」という意味もあり、イタリア料理では all'arrabiata というと唐辛子を使ったという意味合いになる。 一般的にはアラビアータは唐辛子を使った辛いトマトソースのことを言う。
アラビアータ=
arrabiato とは「怒っている」という意味の形容詞で他には「熱狂的な、猛烈な」という意味もあり、イタリア料理では all'arrabiata というと唐辛子を使ったという意味合いになる。 一般的にはアラビアータは唐辛子を使った辛いトマトソースのことを言う。
春先の夕暮れ時、
自分とオーナーが店番していた時に
実際に起きた話である。
今日はオーナーと一緒といえど、
機械トラブルと変な客さえ来なければスタッフとずっとダベッてタダでバッティング出来て本当にゆるくて楽な仕事だなあ。
マヂ天職。しかも社員。
とりま明日の狙い台と微妙にストリエの新作をボーっと考えていよう。
てな具合に隙だらけで
適当にテーブルを拭いて
カウンターに戻ってくると
程なくして
おい、何だオラ。何か言いたいことがあるなら言えよ。
あん?何だジジイこら
いつの間にやら
長身の少年
(のちにアラビアータくんと命名)
が中年のオーナーと
睨み合いを聞かせていた。
店内でタバコを吸って
一向に遊ぶ気配のない、
しかもどう見ても未成年の
4人組に注意したオーナーに、
そのうちの一人である
アラビアータくんが
ガンを飛ばして
因縁を付けて来た恰好である。
だから何なんだお前。帰れオラ!
おい、かかって来いよオラ!おい、何観てんだよボウズ?お前も来るかオイ!
…え、やっぱ俺に噛みついてきちゃいます?
予想通り自分にも
飛び火してきた。
そこで作者は荒ぶる魂を
タケシ映画の大杉漣に変えて
毅然と黙って立ち
ふふふ
と不敵にニヤけて見せると
何だこの野郎、その目はオラ!!
絶対この店ぶっ潰してやるからな!!
どうやら火に油を注いでしまったようだった。
何だお前?やれるもんならやってみろよオラ!
おうおう、上等だ。かかって来いよ。
だから何だテメエさっきからその口の利き方はオラ!
完全にスイッチの入った
二人が睨みながらにじり寄る。
その異様な光景にいよいよ
周りのお客さんたちも
気づき始めてきて
場内に殺気ばしった空気が
漂いはじめた。
いろんな意味で危険を察した
双方のセコンド陣営が
引き留めに入る。
オーナー、あとは俺が話しますので
すいません、こいつバカなんで!二度と連れて来ませんから!
ところが
お前はいいから!黙ってろ!
お前はいいから黙ってろ!
ひーん!!
ひーん!!
と双方のエースは味方にすら牙を剥く。
橋本真也VS小川直也戦の再来
といっても過言ではない大迫力。
観客、もといい店のお客さんたちも
戸惑いの色を隠せない。
困り果てた僕はベンチで
途方に暮れている残り二人の少年に
すいません。
うちは休憩だけして帰る人は厳しく断ってるんですよ!
次来てくれた時に一回でも遊んでくれたらウチも何も言いませんけど、
今日のところは本当に、本当に申し訳ないんですが、日を改めてご来店頂けないでしょうか?
と大杉漣を捨てて10代の彼らに
平身低頭説き伏せ、
少年4人を丁重に
店から追い払った。
ぜってー、この店潰してやるからな!!
覚悟しておけよ!!
仲間三人に止められながらも
アラビアータ君は何度も
叫んで花道を後にした。
ばいびー
それで解決かと思いきや
それから一週間と経たないうちに
自分が定時の店回りの巡回をしていると
階段下の店の自動ドアから
ひぃ!!
おいボウズボウズ!!お前逃げねえでかかって来いよオラ!
地の底からケルベロスこと
アラビアータ君が
自分を睨みながら吠えて来た。
逃げるなと言われて逃げないバカがいますかってーの!!
おい待て!逃げんじゃねえぞオラ!!降りて来いよ!!
嫌に決まってんだろバーカバーカ!!
と数日に渡る国境線
(店内外を分ける階段下の自動ドア)
からの
アラビアータ君の挑発行為に対し、
作者は逃げるように無視し続けた。
その甲斐あってか段々
彼らを見かけなくなり、
安心していると、
よりによって土曜夕方の
繁忙期に事件は起きた。
おいボウズボウズボウズボウズ
な、なぬ~!?
アラビアータ君たちが
大勢のお客さんに紛れて
いつの間にか入店し、
因縁の
喫煙スペースのベンチに
陣取っていたのである。
中盤に続く