敬一

オレのクラスは4年3組か

 靴箱の入り口付近に設置されたホワイトボードに示されたクラスを確認した敬一は呟いた。

 星華(せいか)小学校は始業式前に振り分けられたクラスに生徒が向かい、教師の引率で始業式が行われる体育館に向かう手筈である。
 因みに引率の教師は前の学年で同じ数字のクラスを受け持っていた教師である。
 つまり敬一が向かう4年3組に引率としてくるのは昨年3年3組の担任をしていた教師だ。

 早速確認したクラス数字である4年3組の靴箱に敬一は向かった。
 しかし出席番号の靴箱に行こうとする前に仲良さそうに並んでいる目を引く容姿の茶色のワンサイドアップヘアの女児と少し癖のある黒髪の男児の姿が目に飛び込んで来て思わず足を止めてしまう。

???

又アキ君と同じなんだね~

???

うん。ボクすっごい嬉しいな~

 2人は笑顔でそんな会話をしていたが、次の女児の言葉に男児の表情が固まったのを敬一は見逃さなかった。

???

又アキ君に話を聞いて貰えるからユズも嬉しいよ

 少しの間の後男児は曇った表情で静かに返した。

???

……うん、そうだね

 しかし女児はそんな彼の様子など気にも留めず笑顔で言った。

???

じゃあ早く教室行こ

???

……うん

 笑顔で頷く男児だが、その笑顔に敬一はどこかぎこちなさを感じた。

敬一

何だか妙だな。男の子の方は一生懸命女の子の表情を見ているけど女の子の方はまるで彼が見えてないみたいだ……

 その2人の姿はある状況と重なる。

敬一

まるでオレと……両親みたいだ

 そう感じたせいで2人の姿は敬一の視線を捕らえて離さない。

 敬一は二人を追うように靴を換え、教室へと向かったのだった。

過去2 小学校の話2~運命の出会い~

facebook twitter
pagetop