セーラさんはカレンが偽物だって
気付いていたという。

いつごろ、どうやって分かったのかな?
 
 

セーラ

冷静に考えてみてくださいぃ。
この家に突入した時、
部屋が真っ暗になりましたよねぇ?

トーヤ

は、はい……。

セーラ

きっとあの時に、
サキュバスはカレンちゃんと
入れ替わったのですよぉ。

エーデル

なっ!?

 
 
サキュバスは大きく息を呑んだ。

その反応を見てセーラさんは
満足げに大きく頷く。
 
 

セーラ

どうやら当たりみたいですねぇ。
まぁ、ほかに入れ替わる隙は
ありませんでしたしぃ。
でもきちんと根拠はあるのですぅ。

セーラ

おかしいと思ったのは、
カレンちゃんの言動ですぅ。
なんで誰かに明かりを付けるように
言ったんですかねぇ?

トーヤ

でもそれって、
普通のことですよね?
何も不自然じゃありませんよ?

 
 
するとセーラさんは人差し指を立て、
チッチッチと左右に振る。
 
 

セーラ

カレンちゃんなら即座に自分で
ライティングの魔法を使って
部屋を明るくしますよぉ。

トーヤ

あっ! 確かにっ!

セーラ

あの状況でカレンちゃんにとって
最も気がかりなのは、
トーヤくんの安否ですからねぇ。

セーラ

一刻も早く確認したいのに
人任せにして待ってるなんて
明らかに変ですぅ。

 
 
そ、そうなのかなぁ?
僕たちは単なる仲間同士であって、
そこまで心配するとしたら違和感がある。

だってそんなに気がかりなんて、
まるで僕がカレンの恋人みたいじゃないか。
 
 

トーヤ

…………。

 
 
……ま、まさかカレンは僕のこと?


あ、ありえないよね?
だってカレンはお嬢様だし、
誰にでも優しいから周りにはそう見えるだけ。


うん、そうに違いないよ……。
 
 

ライカ

それでセーラさんは
おかしいなって思ったらしいです。
それをこっそり伝えられて、
私も意識して警戒していたんです。

セーラ

サキュバスを確実に捕まえるために
警戒しつつも黙っていたのですぅ。

トーヤ

さすがセーラさん!

エーデル

チッ……。

セーラ

さてぇ、まずは
カレンちゃんの居場所を
話してもらいましょうかぁ?

エーデル

……屋根裏部屋よ。
ロープで縛って
睡眠薬で眠らせてある。

トーヤ

屋根裏部屋だね?
分かった!

 
 
僕は即座に廊下に出て、
屋根裏部屋へ向かおうとした。

でもそんな僕の腕をセーラさんが掴んで止める。
しかもなぜか表情がちょっと厳しい。
 
 

セーラ

トーヤくん! 待つのですぅ!

トーヤ

えっ?

セーラ

ワナが仕掛けられていたら
どうするんですかぁ?
慎重になってほしいのですぅ。

トーヤ

う……。

 
 
確かにセーラさんの言う通りだ。
もっと慎重になるべきだった。


狡猾な相手に対して、
言うことをそのまま信じて
何の警戒もなしに突き進むのは危険だ。

やっぱりダメだなぁ、僕は……。
 
 

セーラ

心配なのは分かりますけどぉ、
『急いては事をし損じる』
ですよぉ?

セーラ

状況にもよりますけどぉ、
今は急ぐ時ではないのですぅ。

トーヤ

す、すみません……。

 
 
僕が反省しているのを見て
セーラさんは満足げに頷いた。

そしてサキュバスの方へ向き直る。
 
 

セーラ

サキュバスさん、
まずはクロードくんとクロウくん、
みんなの呪いを解くのですぅ。

セーラ

……言うことを聞かないと
あなたにとっては地獄のような
アイテムを
装備させちゃいますよぉ?

エーデル

私にとって地獄?

セーラ

大きな声では言えませんけどぉ。

 
 
セーラさんはサキュバスに近付き、
ニヤニヤしながら耳元で何かを囁いた。

するとサキュバスは真っ青になって
ブルブルと震え始める。


何なんだろう、あの怯え方は?
 
 

エーデル

ヒッ! それだけはやめてっ!

セーラ

では、言うことを聞くのですぅ。

エーデル

もちろんです、お嬢様っ!

ライカ

セーラさん、
何を言ったんですか?

セーラ

実は……。

 
 
セーラさんはライカさんの耳元で
何かを囁いた。

するとライカさんは
なぜか頬を真っ赤にして照れている。
 
 

ライカ

そ、そうですか……。
確かにサキュバスにとっては
最悪の仕打ちかも
しれませんね……。

トーヤ

セーラさん、
僕にも教えてくださいよ。

セーラ

トーヤくんには内緒なのですぅ。
健全なトーヤくんに対して
そんなことは話せないのですぅ!

トーヤ

健全?

セーラ

それに私がそういう話を
トーヤくんにしたなんて
カレンちゃんに知れたら、
大変なことになるですぅ。

トーヤ

な、何を言ったんだろう……。

 
 
すごく気になるんだけど……。

健全って何?
それになんでそれを僕に話したら
カレンが出てくるの?


セーラさんはどんなアイテムを
サキュバスに装備させようとしたんだろう?
とにかく分からないことだらけだ。



まぁ、あの調子じゃ、
きっと教えてくれないんだろうけどね……。
 
 

 
 
 
次回へ続く!
 

第92幕 さすがセーラさん!

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