セーラさんはカレンが偽物だって
気付いていたという。
いつごろ、どうやって分かったのかな?
セーラさんはカレンが偽物だって
気付いていたという。
いつごろ、どうやって分かったのかな?
冷静に考えてみてくださいぃ。
この家に突入した時、
部屋が真っ暗になりましたよねぇ?
は、はい……。
きっとあの時に、
サキュバスはカレンちゃんと
入れ替わったのですよぉ。
なっ!?
サキュバスは大きく息を呑んだ。
その反応を見てセーラさんは
満足げに大きく頷く。
どうやら当たりみたいですねぇ。
まぁ、ほかに入れ替わる隙は
ありませんでしたしぃ。
でもきちんと根拠はあるのですぅ。
おかしいと思ったのは、
カレンちゃんの言動ですぅ。
なんで誰かに明かりを付けるように
言ったんですかねぇ?
でもそれって、
普通のことですよね?
何も不自然じゃありませんよ?
するとセーラさんは人差し指を立て、
チッチッチと左右に振る。
カレンちゃんなら即座に自分で
ライティングの魔法を使って
部屋を明るくしますよぉ。
あっ! 確かにっ!
あの状況でカレンちゃんにとって
最も気がかりなのは、
トーヤくんの安否ですからねぇ。
一刻も早く確認したいのに
人任せにして待ってるなんて
明らかに変ですぅ。
そ、そうなのかなぁ?
僕たちは単なる仲間同士であって、
そこまで心配するとしたら違和感がある。
だってそんなに気がかりなんて、
まるで僕がカレンの恋人みたいじゃないか。
…………。
……ま、まさかカレンは僕のこと?
あ、ありえないよね?
だってカレンはお嬢様だし、
誰にでも優しいから周りにはそう見えるだけ。
うん、そうに違いないよ……。
それでセーラさんは
おかしいなって思ったらしいです。
それをこっそり伝えられて、
私も意識して警戒していたんです。
サキュバスを確実に捕まえるために
警戒しつつも黙っていたのですぅ。
さすがセーラさん!
チッ……。
さてぇ、まずは
カレンちゃんの居場所を
話してもらいましょうかぁ?
……屋根裏部屋よ。
ロープで縛って
睡眠薬で眠らせてある。
屋根裏部屋だね?
分かった!
僕は即座に廊下に出て、
屋根裏部屋へ向かおうとした。
でもそんな僕の腕をセーラさんが掴んで止める。
しかもなぜか表情がちょっと厳しい。
トーヤくん! 待つのですぅ!
えっ?
ワナが仕掛けられていたら
どうするんですかぁ?
慎重になってほしいのですぅ。
う……。
確かにセーラさんの言う通りだ。
もっと慎重になるべきだった。
狡猾な相手に対して、
言うことをそのまま信じて
何の警戒もなしに突き進むのは危険だ。
やっぱりダメだなぁ、僕は……。
心配なのは分かりますけどぉ、
『急いては事をし損じる』
ですよぉ?
状況にもよりますけどぉ、
今は急ぐ時ではないのですぅ。
す、すみません……。
僕が反省しているのを見て
セーラさんは満足げに頷いた。
そしてサキュバスの方へ向き直る。
サキュバスさん、
まずはクロードくんとクロウくん、
みんなの呪いを解くのですぅ。
……言うことを聞かないと
あなたにとっては地獄のような
アイテムを
装備させちゃいますよぉ?
私にとって地獄?
大きな声では言えませんけどぉ。
セーラさんはサキュバスに近付き、
ニヤニヤしながら耳元で何かを囁いた。
するとサキュバスは真っ青になって
ブルブルと震え始める。
何なんだろう、あの怯え方は?
ヒッ! それだけはやめてっ!
では、言うことを聞くのですぅ。
もちろんです、お嬢様っ!
セーラさん、
何を言ったんですか?
実は……。
セーラさんはライカさんの耳元で
何かを囁いた。
するとライカさんは
なぜか頬を真っ赤にして照れている。
そ、そうですか……。
確かにサキュバスにとっては
最悪の仕打ちかも
しれませんね……。
セーラさん、
僕にも教えてくださいよ。
トーヤくんには内緒なのですぅ。
健全なトーヤくんに対して
そんなことは話せないのですぅ!
健全?
それに私がそういう話を
トーヤくんにしたなんて
カレンちゃんに知れたら、
大変なことになるですぅ。
な、何を言ったんだろう……。
すごく気になるんだけど……。
健全って何?
それになんでそれを僕に話したら
カレンが出てくるの?
セーラさんはどんなアイテムを
サキュバスに装備させようとしたんだろう?
とにかく分からないことだらけだ。
まぁ、あの調子じゃ、
きっと教えてくれないんだろうけどね……。
次回へ続く!
ご覧いただきありがとうございますっ! 18禁作品だったら、書いちゃうんですけどね~っ♪ でも全年齢版なので書けませんっ! セーラさんはそういう系の仕打ちを、エーデルにしようとしていたみたいですっ!!