まるで疫病神のような扱いで館から追い出された俺だが、これくらいのことで諦めてはライターは務まらない。

有馬 明

上等じゃねえか!覚えてろハゲ!!

週刊センテンススプリングみたいな大手週刊誌にはかなわないが、うちも一応はマスコミの端くれ。取材する価値があると思えば、報道の自由ってものを遠慮なく使わせてもらう!!

とはいえ、これ以上正攻法で攻めるのは難しそうだ・・・。それにもう腹が減った・・・。

有馬 明

仕方ない。とりあえずどっかで飯でも食うか!

俺は山道を車で引き返した。とはいえ、食事ができそうなところなど、いくら探してもどこにもない・・・。

有馬 明

くそーこれだから田舎はイヤだ!

車で20分ほど山道を下ると、ようやく1軒のコンビニエンスストアを見つけることができた!

有馬 明

おっしゃ、あそこで食料調達だ!!

いらっしゃいませー

コンビニには金髪のガラの悪そうなアルバイトがいた!多分、この辺の走り屋か暴走族だろう。ライター経験上、こういうタイプは地域の情報に精通してるものだ!

俺は夕食を買うついでに、観音寺彩音について聞いてみることにした!

有馬 明

すいませーん、自分東京から来たストリエ出版の者なんすけど、丘の上の観音寺家に6本指の天才ピアニスト少女がいるって噂聞いたんすけど本当?

あ、もしかしてミトンちゃんのことっすか?

有馬 明

ミトンちゃん?

いやあ、いつも夜中にね、髪が長くて真っ白な幽霊みたいな女の子が両手をミトンで隠して入ってくるんですよ!

有馬 明

そ、それは本当?

最初はメチャクチャ怖かったけどもうすっかり慣れましたよ!

それに、よく見ると結構かわいいし・・・

でも指が6本なんて話は聞いたことないですね・・・人に見せられないような酷い火傷があるんじゃないかってのが俺らの噂ですが・・・

有馬 明

なるほど・・・

なるほど・・・。これはずいぶんと有力な情報だ!
今夜は、ここに張り込んだ方がよさそうだ!
俺はイートインコーナーで簡単に夕食を済ませると、雑誌を読むふりをしてミトンちゃんこと観音寺彩音が来るのを待った。

田舎のコンビニだけあって、深夜となると誰も客が入って来ない。さっきまでいたバイトも店舗の奥に消えてしまった。東京ならば不用心といえるが、こんな田舎では誰もそんなこと気にしていないようだ。

有馬 明

本当に来るのかな?

俺がそう疑問を感じた時だった!ふいに入口の来客メロディーが流れ、誰かが背後を歩く足音が聞こえてきた!

有馬 明

来たなっ!!

意を決して、俺は振り返ってみた!髪の長い、透き通るような肌の、幽霊みたいな女の子がドリンクの棚の前に佇んでいた!!

観音寺彩音

・・・・

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