山奥村はその名のとおり、青森市内からかなり離れた場所にあった。
山奥村はその名のとおり、青森市内からかなり離れた場所にあった。
これじゃガソリン代だけで赤字になっちまうじゃねえか!クソッ!ユウジのヤツ、ふざけんな!
俺のようなしがない契約ライターは、取材経費も全て原稿料に含まれている。だが、たとえ赤字でも俺に拒否権はない。断ればその場で契約打切だ。
俺は、ざんざん悪態をつきながらユウジのメモを頼りにつづら折りの山道を進んでいった。
そうして、俺が目的の洋館に着いた時には、すでに日は暮れようとしていた。
まいったな・・・。こりゃ車中泊確定だな!
夕暮れ時に静まり返った不気味な洋館を訪ねるのは気が重かったが、これも仕事だからやむを得ない。そもそも幽霊を信じるような奴にオカルト雑誌の記者など務まるわけがない!
俺は覚悟を決めて、古びた洋館の呼び鈴を鳴らした!
はーい、どちら様でしょう?
驚いたことに、若いメイド服の女が姿を現した!秋葉原のコスプレとは違ってどうやら本職のようだ!
すみません。ストリエ出版の有馬と申します。こちらに6本指の天才ピアノ少女がいると聞きまして取材にうかがったのですが・・・
ああ。彩音お嬢様のことですか!どうぞこちらへ!
すみません。失礼します!
思いがけずあっさりと取材の許可が出た。とりあえず青森の山奥まで来て、ガセネタを掴ませられるという最悪の事態は回避できたようだ!
室内も外観に負けず劣らず豪華だった!東京から遠く離れたこんな山奥に立派な屋敷があるとは驚きだ。
す、すげえななんてデカい屋敷なんだ・・・
驚きました?ご主人様は県内有数の観音寺財閥を営んでおりますもの!
まあこれくらいは同然です!
メイドは自慢そうに応えた。観音寺財閥としての自分の仕事に誇りをもっているようだった。
で、肝心のお嬢様はどこにいるんすか?
こちらでお待ちください!
そういうと、メイドは俺を豪華な調度品のあふれる部屋に案内した。
すぐに呼んでまいりますので少しばかりお茶でもたしなんでいてください
ありがとう・・・
隣の部屋から呼び出すだけなのに、わざわざケーキを用意する必要があるのだろうか?俺は何だか嫌な予感がしてきた・・・。